『 HERO IS LEAVING.』
復活劇あり、圧勝劇あり、敗れ去る悲劇あり――。
数々の名馬の引退劇の舞台であり続ける
有馬記念ですが、今年このレースをもって引退を表明しているのが、G15勝で名馬の系譜にその名を刻む
ドウデュース。どんな終劇が待っているのか、DATAから探ってみましょう。
グレード制導入の1984年以降、
有馬記念か
ジャパンカップで、引退を表明、示唆して引退していった馬の中で、G1を5勝以上も挙げていた名馬を全て、そのレースまでの総キャリア数の多い順に、着順とともに並べてみます。
3着
ダイワメジャー:27戦
8着
ゴールドシップ:27戦
5着
テイエムオペラオー:25戦
7着
ブエナビスタ:22戦
1着
オルフェーヴル:20戦
1着
キタサンブラック:19戦
1着
ジェンティルドンナ:18戦
1着
アーモンドアイ:14戦
1着
ディープインパクト:13戦
1着
イクイノックス:9戦
22戦以上走っていた4頭は勝てず、20戦以下だった6頭は全勝していました。余力を残しているかどうかは、単純にキャリア数で判断できるようです。
ドウデュースは、ここまでキャリア16戦ですから、英雄然とした華々しい去り際を披露してくれることでしょう。
ちなみに、
ドウデュースの新馬戦からここまでの戦歴を、勝ち=○、負け=●で表すと、○○○●●○●●○●●○●●○○となり、
有馬記念をDATA通り優勝すると右端に○が追加され、左右対称になります。
なんと美しい戦歴でしょう。
ドウデュースの相手を探そうと過去の
有馬記念の1〜3着馬の一覧表を穴が開くほどまじまじと見ていると…3着馬が非常に特徴的であることが見えてきました。大きくは2タイプ、細かくは3タイプに分けられることが判明したのです。
07年以降の3着馬を並べます。
07年
ダイワメジャー08年
エアシェイディ09年
エアシェイディ10年
トゥザグローリー11年
トゥザグローリー12年
ルーラーシップ13年
ゴールドシップ14年
ゴールドシップ15年
キタサンブラック☆
16年
ゴールドアクター17年
シュヴァルグラン18年
シュヴァルグラン19年
ワールドプレミア☆
20年
フィエールマン21年
クロノジェネシス22年
ジェラルディーナ23年
タイトルホルダー 太字の延べ7頭は、その年の
天皇賞・春で1・2番人気に支持されていました。また、☆印の2頭はその年の
菊花賞馬でした。つまり、この9頭は長距離適性の高い馬たちだということ。
今年の
菊花賞優勝の
アーバンシックが該当します。
興味深いのが太字と☆以外の8頭の方。それぞれの母、もしくは兄弟姉妹を並べてみましょう。
07年
ダイワメジャー→【妹】
ダイワスカーレット08年
エアシェイディ→【妹】
エアメサイア09年
エアシェイディ→【妹】
エアメサイア10年
トゥザグローリー→【母】
トゥザヴィクトリー12年
ルーラーシップ→【母】
エアグルーヴ→【姉】
アドマイヤグルーヴ17年
シュヴァルグラン→【姉】
ヴィルシーナ→【妹】
ヴィブロス21年
クロノジェネシス→【姉】
ノームコア22年
ジェラルディーナ→【母】
ジェンティルドンナ 名前の挙がった馬は全て、3着の8頭がその
有馬記念に臨む前に
JRAのG1を優勝していた馬で、つまりこの8頭は相当な良血馬ということになります。
ここでは【兄】【弟】の名前は挙がりませんでしたが、11・13年1着
オルフェーヴル→【兄】
ドリームジャーニー、20年2着
サラキア→【弟】
サリオスなどの例(※他多数)があるので、【母】【姉】【妹】に限定する必要はないでしょう。
今年唯一該当するのが、【兄】に
皐月賞・
大阪杯優勝の
アルアインを持つ
シャフリヤールです。鞍上のクリスチャン・デムーロ騎手も【兄】が
JRAのG134勝の
ミルコ・デムーロですから、コンビともども該当します。
一見するとムラのある成績に見えますが、C・デムーロ騎乗の2400メートル以上のレースだけを抜き出すと、印象は変わります。
22年ドバイシーマC=1着
22年
ジャパンカップ=2着
23年ドバイシーマC=5着
23年
BCターフ=3着
24年ドバイシーマC=2着
24年
BCターフ=3着
イメージは、世界を股にかけるジャパニーズ全戦善戦
ビジネスマン。6戦全てG1でほぼ崩れていませんから、強気になれます。国内での出走が少ない分、人気の盲点になりそうなのもいいですね。
<結論>
単勝:
ドウデュース複勝:
シャフリヤールワイド:軸
シャフリヤール→相手全通り
3連単フォーメーション:1着
ドウデュース→2着全通り→3着
アーバンシック、
シャフリヤール 去り行く偉大なるヒーローの背中を、1頭挟んで見送る
シャフリヤール――。そんな場面を夢見て、そんな馬券で夢を見ます。
スポニチ