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【有馬記念】ドウデュース100点! まるで「ハン・ガンの絵」飛び出してきそうな躍動感ある立ち姿

スポニチ
  • 2024年12月17日(火) 05時30分
 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

 花道を飾るのは日本で一番素晴らしい馬だ。鈴木康弘元調教師(80)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。今週は有馬記念スペシャルとして5つのチェック項目(各20点満点)で出走馬16頭を採点。ラストランで“秋の古馬3冠”を懸けるドウデュースに唯一満点を付けた。達眼が捉えたのは引退が惜しまれる躍動感に満ちた立ち姿。年末のグランプリ連覇で大団円を迎える。

 「この世でいちばんすばらしい馬」という名作絵本があります。8世紀、中国の青年画家ハン・ガンが描いた心にしみる馬の物語。ハン・ガンの絵はあまりにも生き生きとしているので画布から飛び出して動き出す…。そんなうわさを耳にした武将が戦いに勝つため強靱(きょうじん)な馬を描くように依頼します。完成した馬の絵は絹の画布から勢いよく抜け出すと、武将を乗せて戦場へ疾走しました。「どうか、馬を大切にしてください」。ハン・ガンの声もかき消すほどのけたたましい蹄音を残して。

 ドウデュースの現役最後となる写真を目にした時、ハン・ガンの絵を思い出しました。写真のフレームから今にも飛び出してきそうな躍動感あふれる立ち姿。ジャパンC同様、強いまなざしと、注意深く立てた両耳を正面に向けています。引退前とは思えない活気に満ちた顔つき。これまでと変わらない前向きな気持ちで最後の戦場に臨めるでしょう。

 天皇賞・秋からジャパンCと厳しい戦いを勝ち進んでもダメージは見当たりません。疲れは腹の張りに端的に表れるものですが、余裕が感じられるほどふっくらしています。毛ヅヤも抜群。ジャパンCの時と同様、鹿毛の被毛が深い輝きを放っています。皮膚の内側からにじみ出てくるような深々としたツヤ。寒気が身にしみる季節を迎えても冬毛1本見られない。秋2戦と変わらない素晴らしい体調を維持しています。

 中距離仕様と思わせる無駄のない骨格には岩のように隆起した筋肉を備えています。特に目を引くのがトモの筋肉量。ジャパンCの時より増えたようにさえ映ります。2500メートル戦のゆったりとした流れを走るには邪魔になるほどのボリュームですが、その分厚い筋肉はすさまじい瞬発力も生み出してくれます。戦場で無敵を誇ったハン・ガンの馬の絵のように…。

 名作絵本の結末はハンカチを用意してご一読ください。「この世でいちばんすばらしい馬」。ドウデュースの競走生活の結末にもそんな賛辞が寄せられるかもしれません。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の80歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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