「
有馬記念・G1」(22日、中山)
驚きの逃げ宣言だ。枠順抽選から一夜明けた栗東トレセン。8枠16番を引いた
シャフリヤールの藤原師がこう切り出した。「絶好やないか。スローやからハナに行くぞ。行くには絶好の枠。クリスチャンも“いいね”って」。前日は苦虫をかみつぶしたような顔をTVで放送され、川田のイジリも話題となったが、「変な顔をしとかんとな」と、パフォーマンスだったことを明かした。
枠の決定後、C・デムーロが師に「行っていいのなら行きたい」と伝えた言葉とも一致し、思い切った策を選択した。(16)番といえば、
グレード制導入の84年以降、〈0・1・0・22〉と馬券圏内は昨年の
スターズオンアースだけという鬼門の大外枠。それでも、世界を渡り歩いたダービー馬と鞍上に絶対的な信頼を寄せる。
軽妙な語り口が止まらない。「みんなけん制して、行く馬もおらんやろ?自在性とそれに伴う操縦性がないと(逃げは)できない。それがあるのはアドバンテージになる。持久力も体力もあるから相手に合わせる必要はない。内だと窮屈になってスローにハマるし、選択肢がなくなるけど、大外ならスッと出てどこでも取れる。逃げる予定はしていたからな」と流れを支配する腹積もりだ。
金曜は栗東坂路で4F60秒4-15秒2と流し、輸送前日の調整を終えた。
香港ヴァーズ出走を取りやめ、中山で調整を行うドタバタの参戦となりながらも5着と健闘したのが昨年の
有馬記念。トレーナーは「いい状態。昨年よりもいい。世界的に馬は5、6歳なんてベイビー。6歳でパフォーマンスが落ちると思えない。(ドジャースの)大谷だって30歳やろ?」と出来に太鼓判を押した。
決戦まであとわずか。何が逃げるのか?各陣営や競馬ファンが気になっていたであろう問いが、今、解けた。これまで一度も逃げたことのないダービー馬が、ハナを奪えば盛り上がること必至。
凱旋門賞2勝ジョッキーが再び頂点へと導く。
提供:デイリースポーツ