「
有馬記念・G1」(22日、中山)
過去にラストランで暮れの
グランプリを制し、競走馬生活を終えた名馬を紹介する。今回は19年
リスグラシューを振り返る。
◇ ◇
リスグラシューは歳を重ねさらに色濃く輝いた、まさに“名牝”だった。思えばデビュー当初から素質の片りんを見せていた。2戦目の阪神での未勝利戦を2歳レコードで圧勝すると、アルテミスSで重賞初制覇。続く阪神JFでは2着とG1タイトル奪取は時間の問題のように思えた。しかし、翌年の牝馬3冠戦では2、5、2着とあと一歩のところで戴冠ならず。同年の
エリザベス女王杯も8着に敗れた。
そんな彼女が一変したのは4歳秋。3歳時は430キロ台で走っていた小柄な牝馬だったのが、460キロ台まで体を増やし、18年
エリザベス女王杯で悲願のG1初制覇を果たした。5歳時には
宝塚記念を制し、さらには
コックスプレートで海外G1タイトルも手中に収めた。
5歳にして絶頂。矢作師は
有馬記念がラストランになることを11月16日に電撃発表する。G1・5勝(G1)を誇り、絶対的女王の地位を確立していた
アーモンドアイとの初対決がラストランで実現した。
単勝1・5倍で1番人気の
アーモンドアイに対し、
リスグラシューは単勝6・7倍の2番人気。道中は
アエロリットがかなりのペースで逃げるなか、後方でじっくり運んだ。4角まで追いだしを我慢すると、直線で一気に加速。ただ一頭、脚勢が違った。
レーンによって引き出された豪脚はもう止まらない。ラ
イバルたちを5馬身ぶっちぎる圧勝劇。矢作師は「史上まれに見る名牝」と最上の言葉で敬意を表した。史上初となる牝馬による同一年の
グランプリW制覇。
年度代表馬受賞の決定打にもなった圧巻の有終Vだった。
提供:デイリースポーツ