「
有馬記念・G1」(22日、中山)
ファン投票1位の
ドウデュースが決戦2日前に出走取消。一気に混戦模様となった今年の
グランプリを制したのは5番人気の
レガレイラだ。
シャフリヤールとの壮絶なたたき合いを約18センチ差で制し、1960年の
スターロツチ以来、64年ぶり史上2頭目となる3歳牝馬Vを飾った。3着には2番人気の
ダノンデサイルが逃げ粘り、1番人気の支持を受けた
アーバンシックは6着に敗れた。
引き揚げ所で鼻差先着の見通しを聞いて両腕を広げて喜んだ戸崎圭とは対照的に、人馬を迎えた木村師は努めて笑顔を抑えていた。3歳牝馬では60年の
スターロツチ以来、実に64年ぶりとなる
有馬記念制覇。「まずこの1年、
レガレイラがなかなか本来の…。応援してくれる皆さんに納得してもらえる走りを導けなかった。ホッとしています。責任を果たせたと」。そう言葉を口にすると、やっと頬が少し緩んだ。
苦しい戦いが続いた一年の最後に、意地を見せた。ほぼ1年前、同じ中山で
ホープフルSを勝った
レガレイラだったが、3歳シーズンは苦難の連続。春2冠は牝馬路線を歩まず、
皐月賞、ダービーに挑戦するも、はね返された。秋の始動戦となったローズSは流れに乗れず5着止まり。
エリザベス女王杯も1番人気に推されたが、牝馬相手でも5着。4戦全て馬券圏内すら入ることができなかった。
陣営はもちろん復活Vを信じていたが、後押しするファンの力も大きかった。
有馬記念はファン投票13位で特別登録馬の上位10頭に入り、優先出走権を得たが、通常のG1で適用される出走馬決定賞金順なら19番目。ファンの13万余の票がなければ、出走すらかなわなかった。そして迎えたこの日。牡馬のG1馬4頭に続く5番人気に支持された。「パドックでオッズ板を見ました。人気していたので、ありがたいな。期待に応えたいな」。木村師はファンの力に改めて背筋を伸ばした。
見事に期待に応え、成し遂げた偉業。「
ドウデュースが引退になりますので、来年、
中央競馬を引っ張っていく一頭になろうかと思います。それが体現できるように」。2025年に向け、スターホースを育てていく新たな責任を自覚していた。
提供:デイリースポーツ