クラシックロードを疾走するのはターフのロールス
ロイスだ。「第65回
京成杯」(19日、中山)の追い切りが16日、美浦、栗東トレセンで行われた。新馬戦を圧勝した噂の“3億円ホース”
キングノジョーが示したのは高級車の大型エンジンを思わせる並外れた心肺機能。18日から騎乗を再開する
クリストフ・ルメール騎手とのコンビでクラシックに名乗りを上げる構えだ。
サラブレッドは肺で走り、心臓で頑張るという。肺が酸素を血液に取り込み、心臓が血中の酸素を各部位に送ってエネルギー(有酸素エネルギー)を生み出す。車のエンジンに相当するのがサラブレッドの心肺だ。「それにしても、心肺機能が高いですよね。強い負荷をかけてもすぐに息が戻る。今日の追い切りもそうでした」。
キングノジョーの長所を問われた田中博師が挙げるのも心肺だった。23年セレクトセール(1歳せり)での落札価格は3億1000万円(税抜き)。車に例えればロールス
ロイスのような高級車の大排気量を誇る大型エンジンである。
Wコースで3頭併せの最終追い切り。6F81秒9の好時計をマークしたとはいえ褒められる動きではなかった。6、7馬身先行した
プリティディーヴァ(3歳オープン)、
バロネッサ(4歳3勝クラス)を掛かり気味に追走していく。直線では手綱が激しく動いて1馬身遅れ。脚色も劣勢だった。「折り合いに引き続き課題が残っていますね。前進気勢が強過ぎて修正し切れていません。折り合いを主眼に調教してきましたが、新馬の時より体力が付いた分、余計目立ってきました」と続ける同師。「自分のリズムで行ければ問題ないが、相手のリズムに合わせて走らせるとこうなる。まだまだ成熟度が低い」
辛抱する木に金がなるという。毎日こつこつ調教を積み重ねていけば、いずれ大成して
ビッグマネーを稼ぎ出すとの意味。24年度
JRA賞調教師4部門のうち2部門(最高勝率、優秀技術)を獲得した同師がこだわるのは毎日の縦列調教。等間隔の車間距離を保ちながら常歩(なみあし)を続けることで「折り合いの一助になるはずです」という。辛抱、我慢を身に付けるからだ。等間隔の車間距離…ロールス
ロイスのような高級車にも有効な調教だろう。依然、折り合いに課題が残っていても、やがて辛抱する木に金はなる。
「今後の目標を考える上で重要な一戦。
ジャスティンパレス(半兄)のように2000メートル以上でパフォーマンスを上げる馬だと思ってます」と同師。中長距離戦で持久力を生み出すのは並外れた心肺機能。肺で走り、心臓で頑張るターフのロールス
ロイスだ。
《今年の3歳重賞で1戦1勝馬が連勝》今年の3歳重賞は1戦1勝馬が2連勝中。
フェアリーSは
エリカエクスプレス、
シンザン記念は
リラエンブレムが優勝した。
京成杯も1戦1勝馬(
キングノジョー、
ミニトランザット)が続くか。
キングノジョーが勝てば国内市場で取引された歴代最高額(税別3億1000万円)の
JRA重賞ウイナーとなる。取引額2億5000万円以上(セレクトセール)では
トーセンスターダム(2億5000万円)が
きさらぎ賞とチャレンジC、
ダノンチェイサー(同)が
きさらぎ賞、
デシエルト(同)が
中日新聞杯を勝っている。
スポニチ