競馬新聞「馬サブロー」が誇るPOGマスター、木村拓人(美浦)と塩手智彦(栗東)がお送りするPOG情報。東西のトレセンでつかんだ情報をお伝えします。
新春の変則開催も一段落。来週以降は開催も調整も通常日程で行われることになります。各陣営も変則日程で調整するのに難しい面もあったと思いますが、まずはご苦労様でしたといったところ。そして調整が難しいと言えば、新馬戦ですね。今週は東西で4レースが組まれていますが、その除外総数は何と143頭!ちょっと異常な数字ですね。これで各陣営が頭を抱えているのがジョッキーの確保。必ずジョッキーも一緒に登録しないといけないので、これを四苦八苦しながら探しています。
なぜこんなに登録しないといけないかというと、フルゲートが16頭だとして、登録頭数がそれで収まればそのまま出走できますが、それを超えた場合に除外馬が出てきます。そうすると除外権利と呼ばれるものが発生して、次週のレースに優先して出走することができるのです。なので今の状況だと狙ったレースに出走するために予定よりも前の週に登録しておかないと、狙ったレースに出走できないというジレンマが発生してしまうのです。そして権利持ちが多くなると権利持ちの中でも除外されることにもなり、それが権利2個持ちとなります。2個持ちになるとほとんどのレースで優先して出走することができるのですが、今週は権利持ちの馬でもかなりの除外されてしまったので、来週は権利2個持ちの中でも除外になるレースが出るかもしれません。そうすると権利3個持ち。レースに出走するのに1カ月も登録し続けないといけないという自体になってしまいます。
そして出走に関して大事なルールがもうひとつあって、これが5頭枠と言われるもの。例えばフルゲート16頭に対し、権利持ちが15頭、権利なしが10頭と計25頭が登録したとします。そうすると権利持ち15頭が全て出走できるわけではなく、権利持ちで出走できるのはフルゲートからマイナス5で11頭。これを権利持ち15頭の中から抽選で決定されます。そして残りの出走枠5頭分を権利持ち抽選であふれた4頭と権利なしで登録した10頭を合わせた14頭を再びフラットな抽選をして出走馬が決定されます。なので、たまに調教本数が少ないのに出走している馬を見かけたら、その5頭枠に当選した馬である可能性は高いですね。JRAのサイトを見ると各馬が何週目に除外されたこともチェックできるので、馬券戦略のひとつとして活用できるかもしれません。
ちなみにフルゲート16頭で権利2個が5頭、権利持ちが10頭、権利なしが10頭だとすると、まず権利2個の5頭は出走決定。権利持ち10頭から6頭が抽選で出走。最後に権利持ち抽選であふれた4頭と権利なし10頭を合わせた14頭で5頭枠の抽選を行うということになります。
これまでG1やOP特別でも同じような登録問題がありましたが、それをうまくルールを改正してきました。新馬戦に関しても毎年この時期に問題提起がありますが、基本的には
バランスが取れたルールですし、この短期間だけの問題ということもあり、そのままとなっています。新馬戦にこだわらなければ、未勝利戦は未出走馬が優先して出走することができますし、今週はそういう馬が増えてきましたね。馬の状態を考えれば新馬戦にこだわらない出走も今後増えていくかもしれませんね。この出走決定方法は新馬戦に限ってのもので、他のクラスではまた違った出走決定方法がありますのでご注意ください。
さて、12日の
フェアリーSは1戦1勝で臨んだ
エリカエクスプレス(牝、杉山晴)が好タイムで勝利。クラシック候補に名乗りを上げました。いやー強かったですね。次走はまだ発表されていませんが、
桜花賞へ直行するとしても上位人気になるであろうパフォーマンスでした。気性が前向き過ぎる面がありますが、キャリアを重ねて成長していけば相当な器になりそう。楽しみですね。
11日の
黒竹賞(ダート1800m)は
ルクソールカフェ(牡、堀)が圧勝。稍重で時計が出やすいコンディションだったとはいえ、1分52秒8は優秀で、ダート路線で非常に楽しみな存在になりそうです。今後のローテは未定ですが、堀厩舎ですから海外遠征も視野に入ってきそうです。
クラリネットソナタ(牝、田中博)は年始に帰厩済み。2月1日の東京ダート1600mの1勝クラスを予定しています。
東スポ杯2歳S4着の
ファイアンクランツ(牡、堀)は、ゆりかもめ賞(2月9日・東京、芝2400m)へ向かいます。(馬サブロー美浦支局・木村)
提供:デイリースポーツ