今年で42回目を迎える
フェブラリーステークス(4歳上・GI・ダ1600m)だが、実はGIとなったのは97年から。84年から93年まではGIII、94年から96年まではGIIだった。そこで今回はGIIとしては最後の一戦、名牝
ホクトベガが制した96年のレースを振り返る。
この年のフェブラリーSは三つ巴の様相だった。1番人気は3.5倍で
ビッグショウリ。芝ダート二刀流でキャリアを重ね、3週前の
銀嶺Sを快勝。ここで前年のマイラーズCに続く、2つ目の重賞タイトルを狙っていた。2番人気は
東京大賞典と
平安Sを連勝中の
アドマイヤボサツで3.9倍。そして3番人気が4.6倍で
ホクトベガ。久々のダート戦となった前走の
川崎記念を5馬身差で圧勝。4kg増の57kgがカギとされていた。
雪が降る中でゲートが開く。ハナを奪ったのは大井の
ヒカリルーファス。
ホクトベガは好位直後を追走。
アドマイヤボサツも前々、
ビッグショウリは中団で脚をためた。レースに動きがあったのは3~4角の中間地点だ。早くも
ホクトベガが先頭に並びかける。常識的には早めの仕掛け。しかし、鞍上の
横山典弘騎手の手応えには余裕があった。その証拠に直線に向くと後続との差を開き、残り200mでは完全に勝負あった。終わってみれば2着の
アイオーユーに3馬身半差の大楽勝で、
JRAでは4つ目の重賞タイトル獲得を果たしたのだった。その後の
ホクトベガの活躍ぶりは説明不要。その雄姿は「砂の女王」という肩書とともに、いつまでも語り継がれていくことだろう。
この翌年の97年、ダート競走の体系整備に伴い、フェブラリーSはダート戦として初めてGIに格付けされた。それ以降、数多くの名馬が参戦し、熱戦が繰り広げられてきた冬の砂王決定戦。今年はどんなレースが見られるのか、楽しみにしたい。