「サウジC・G1」(22日、キングアブドゥルアジーズ)
ついに“世界制覇”を達成した。
フォーエバーヤングが世界最高賞金のサウジCで、香港が誇る最強馬
ロマンチックウォリアーとの一騎打ちを制して海外G1初勝利。1着賞金1000万ドル(JRAが採用するレートで約15億7000万円)を獲得した。獲得賞金は21億円を超え、
アーモンドアイや
キタサンブラックを抜いて日本馬歴代3位に浮上した。管理する
矢作芳人調教師(63)=栗東=は23年
パンサラッサ以来2勝目。
坂井瑠星騎手(27)=栗東・矢作=は海外G1初勝利。また、矢作師&坂井&藤田晋オーナー(51)は、
シンエンペラーでネオムターフC・G2も制した。
日本馬Vラッシュの大トリは、もちろんこの馬だ。単勝1倍台の1番人気に支持された
フォーエバーヤング。日本の総大将として『世界獲り』に挑んだ4歳馬が大接戦の末、ドラマチックな差し切り勝ちで、世界最高の1着賞金1000万ドルを手に入れた。
米国の強敵が次々と回避し、戦前から“世界の賞金王”
ロマンチックウォリアーとの2強ムードの様相を呈していたが、まさにその通りのレース展開になった。大外枠から好スタートを決め、内に切れ込むように2~3番手を確保。4角で逃げ馬をパスしたところで、大外を回って
ロマンチックウォリアーも先頭争いに進出。ここからレース史に残るようなマッチレースが始まった。
最後の直線で勢いよく抜け出た
ロマンチックウォリアーに一度は突き放され、勝利を確信した香港陣営からは歓声が上がった。しかし、ここからが日の丸の底力。
フォーエバーヤングの鞍上・坂井が懸命に右ムチで鼓舞すると、決定的にも思えたその差が見る見るうちに詰まっていく。そしてゴール前約50メートル地点でとらえ切ると、そのままフィニッシュ。人馬ともに初となる海外G1制覇を成し遂げた。
3着馬は首差退けたラ
イバルからはるか後方の10馬身後ろ。まさに一騎打ちの死闘だった。矢作師は「馬を信じるしかなかった。“これを逆転したら映画よりもすてきだな”と思っていました」と劇的Vに舌を巻いたが、主戦の坂井は「負けると思った瞬間はありませんでした」ときっぱり。相棒の末脚を最後まで信じ抜いたその先に、栄冠が待っていた。
数々の名馬を育て上げてきた名伯楽をして「今まで手掛けた中で最高の馬だと確信した」と言わしめたスーパーホースの次戦はドバイワールドC・G1(4月5日・UAEメイダン)を予定。いまだ達成馬のいないサウジC&ドバイワールドC連勝、そして今回かなわなかった米国勢へのリベンジと、果たすべきことはまだまだ多い。日の丸が誇る最強ダート馬の旅路は続いていく。
提供:デイリースポーツ