「
フェブラリーS・G1」(23日、東京)
2番人気の
コスタノヴァが新たな砂のマイル王に輝いた。初コンビのR・キング騎手(34)=豪州=は金曜深夜にサウジアラビアで騎乗後、日本に戻るハードな日程ながら、女性騎手として初めてJRA・G1制覇を達成した。管理する
木村哲也調教師(52)=美浦=は開業以来初のダートG1勝利でJRA・G1・12勝目。2着には5番人気の
サンライズジパングが入り、1番人気の
ミッキーファイトは3着に敗れた。
男も顔負けの力強いスパートで、歴史の扉を開いた。ダートマイル界の頂点に立ったのは、G1初挑戦だった5歳馬
コスタノヴァ。テン乗りで史上初の女性騎手によるJRA・G1制覇を成し遂げたキングは「感動しています。女性としてではなく、一人のジョッキーとしてJRAのG1に勝てた。サポートしてくれた全ての方に感謝します」と満面の笑みを浮かべた。
スタートの1歩目は後れを取ったが、二の脚ですぐに挽回して好位を奪取。手応え十分に直線を迎えると、ラスト300メートルあたりで早くも先頭に立つ。「(仕掛けの)判断は少し早かったかもしれないが、馬の力を信じて自信を持って騎乗しました」。こん身の左ステッキを放ってパートナーを鼓舞し、インから迫る
サンライズジパングの末脚を封じる完勝だった。
4年連続&12個目のG1制覇となった木村師は「ルメールが乗っているみたいな感じでしたね。実際に、サウジでルメールから“乗り方とか教わってるから大丈夫”と言っていたけど、その通りでした」とうなる。根岸S制覇から中2週で
ビッグタイトルを奪取した愛馬の今後については、未定ながらも「こういう成績の馬なので、将来的には種馬になれるように導いてあげないと、と思っています」と大きくなった責任をかみしめていた。
共同会見の最後。日本人女性ジョッキーへのアド
バイスを問われたキングは「一生懸命やるしかないですね。根性とか我慢とか。それでもきょう、女性がG1を勝つところを見せられたので、それが
インスピレーションになって、役に立てばうれしい」と後輩たちにメッセージを送った。
重賞初制覇から3週間足らずでダートマイル王に上り詰めた馬と、それを導いた女性騎手の第一人者。シンデレラストーリーが日本の競馬史に新たに刻まれた。
提供:デイリースポーツ