今週のレースで8人の調教師が引退する。その中の一人が、JRA・G114勝を誇る音無秀孝調教師(70)=栗東。
ミッキーアイルや
インディチャンプなどの名馬を育て上げた名トレーナーが積み上げたJRA通算勝利数は、現在996。あと4勝で1000勝に届くなか、ラストウイークは
チューリップ賞の
サウンドサンライズなど11頭を送り出す。大台達成で有終の美を飾れるか。
46年のホースマン人生に悔いはない。79年に騎手デビューし、95年に調教師へと転身した音無師が定年引退する。JRA通算1000勝まで、あと4勝。今週の出走馬が11頭ということを考えると、達成は難しい。それでも表情は晴れやかで「もともと1000勝したいと思っていないから。引退することも早くから分かっていたことで、寂しいという感じもないですよ」と気負いはない。
騎手として85年の
オークスを
ノアノハコブネで勝利。「G1を勝てば本馬場でウイニングランをするけど、ダートコースで帰ってきてしまった。途中で引き返すわけにもいかなくて」と、懐かしそうに当時のエピソードを口にする。
トレーナーとしてJRA・G1を14勝。「運が良かった」と謙遜するが、地方と海外の勝利も含めると通算1025勝を挙げ、そのうち重賞は112勝。とにかくビッグレースに強かった。「最初も重賞だったしね」。開業年の
北九州記念を、当時騎手だった河内師の手綱で勝ったのが初勝利。そこから30年。優れた采配を振るってきた。
定年後の楽しみは、自らが手掛けた馬の産駒が活躍する姿を見ること。「
インディチャンプ、
クリソベリル、
ピクシーナイトはいい馬を出すんじゃないかな」。今週は小倉競馬場に滞在し、
中山記念の
カラテ、
チューリップ賞の
サウンドサンライズなどの好走を願う。「競馬人生、面白かったな」。幸福感に包まれながら最後の日を迎える。
提供:デイリースポーツ