河内調教師は、最後まで競馬を熱く盛り上げた。臨場した小倉競馬場では、11Rの
アスクドゥポルテが鼻差で勝利を挙げた。
写真判定のさなか、鞍上の西塚は1着の場所に馬を誘導すると、「このまま決まっててくれ」と馬上で祈った。電光掲示板に馬番12が最初にともると、場内のファンから大きな拍手が送られた。「突き抜けるかと思ったけど、フワッとなったな。(自分より)家族の方が大きな声が出ていたよ」と笑った。
その直後の阪神11R・
チューリップ賞も沸いた。正真正銘のラストは弟弟子、
武豊に託した
ウォーターガーベラ。勝ち馬に内から際どく迫ったところがゴールで、こちらも鼻差で惜しくも2着。「50点やな(笑)。うまかったら勝っとるわ。しばらく会わんからいいやろ」と兄弟子から愛のある言葉。愛馬は
桜花賞の優先出走権を獲得し「1年じゃ足らんな、もう2、3年やるか(笑)。でも、いい形で(次の厩舎に)引き継げる」とうなずいた。
騎手時代は通算2111勝、G1・22勝の名手。86年には
メジロラモーヌで牝馬3冠を達成するなど「牝馬の河内」として名をはせ、
桜花賞も4勝を挙げた。調教師として唯一、G1級レースを勝った
アイコンテーラー(23年
JBCレディスクラシック)も牝馬だった。「騎手から今まで続いた競馬人生は楽しかった」。最後まで笑顔で別れを告げた。(山下 優)
スポーツ報知