数々の名場面がある報知杯
フィリーズレビュー。競馬記者歴35年の吉田哲也記者による「見てきた」は、名牝たちが走ってきた伝統の
トライアルにスポットを当てる。
本社杯でありながら、この季節が来ると、企画に頭を抱えることが少なくなかった。時の編集局長から「キャンペーンを張れ」と天の声も…。それでも「主役不在」が変わることはなかった。同じ報知杯なのに、弥生賞との差をぼやいてみたりもした。
もちろん、偉大な名牝も歴代優勝馬に名をきざんでいる。昭和61年、
フィリーズレビューの前身である「4歳牝馬特別」を
ステップに、史上初の3冠牝馬へと駆け抜けたのが
メジロラモーヌだった。鞍上には先日、調教師を定年引退した河内洋さん。39年前の遠い昔の話である。
主役として
桜花賞を制した優勝馬もいる。97年の
キョウエイマーチと05年の
ラインクラフト。この2頭は、その後もG1戦線で活躍した。
メイショウマンボは
桜花賞こそ勝てなかったが、
オークス、
秋華賞、
エリザベス女王杯を制覇した。冬の時代にくさびを打ち込んでくれた数少ない
ヒロインたちである。
G1に手が届かなかったが、衝撃度なら岐阜・笠松から乗り込んできた
ライデンリーダーだ。95年、中央と地方の垣根を部分的に開放し、地方所属のまま中央のクラシックに参戦できる「開放元年」に躍り出てきた。舞台は、阪神・淡路大震災で被災した阪神競馬場ではなく、京都競馬場だった。安藤勝己の
ゴーサインに応えた末脚は、肌寒さが残る淀のターフに吹いた爆風だった。アンカツ、
JRA初重賞タイトル。中央入りは、それから8年後だった。(吉田 哲也)
スポーツ報知