世界の競馬シーンで時めく矢作厩舎が今週末は国内重賞で輝く。伝統の
皐月賞トライアル「第62回
弥生賞ディープインパクト記念」(9日、中山)の最終追い切りが5日、東西トレセンで行われ、
ドゥラメンテのラストクロップである
ジュタが万全の仕上がりをアピールした。
矢作芳人師(63)は「第59回
フィリーズレビュー」(8日、阪神)にも
モズナナスターが出走予定で土日重賞Vに挑む。
朝一番の坂路。世界を制した矢作厩舎の
シンボルカラー赤白のメンコが連なって駆け上がってきた。その一団で、ステーブルジョッキー坂井が手綱を握ったのが
ジュタ。僚馬
ストラテージュ(3歳未勝利)を2馬身追走し、ゴール手前で楽々と抜き去って4F54秒1~1F12秒0。連日の雨で不良となった悪条件のチップを蹴散らすパワフルな動きに、矢作師は「ほぼ予定通り」と納得の表情を浮かべた。
先月23日、サウジアラビアで同厩舎の
シンエンペラー(ネオムターフC)、
フォーエバーヤング(サウジC)が連勝。後者は香港の生きる伝説
ロマンチックウォリアーとの劇的な一騎打ちを制し、師も「あの勝ち方で感動しない競馬ファンはいないのでは。大した馬」と当時の興奮を呼び起こす。今月1日、今度はドバイのG3マハブアルシマールで海外の古馬相手に3歳馬
アメリカンステージが2着と奮闘。春のG1シーズンを直前に控え、世界のYAHAGIが完全に勢いに乗っている。
ジュタもまた名伯楽が将来を嘱望する駿馬。強敵相手に勝ちきった前走・
若駒Sをして「スパンと突き抜けてほしかった」と勝ち方に注文を付けるのは期待の裏返しだろう。登竜門と知られる
若駒S→弥生賞の両レースを連勝となれば、16年のダービー馬
マカヒキ以来。かつては05年の3冠馬
ディープインパクトも歩んだ王道での力試しは、まさに獅子の子落とし。「相手は強い」とレースレベルの高さを認めながらも、「本当に良くなるのは秋以降だろうが、クラシックに向けて最低でも賞金加算を」とハードルは高く設定する。
充実しつつある馬体は「カイバをよく食べるようになった」進化の証。22年セレクトセール当歳セリで3億5200万円(税込み)の高値がついた、名馬
ドゥラメンテのラストクロップは「一戦ごとに強くなっている」という。名血由来の成長力は無限のポテンシャルを秘めている。それを引き出すノウハウが、矢作厩舎にはある。
スポニチ