◇新規開業トレーナー9人 デビュー戦へ決意新た
美浦、栗東トレセンで5日に新規開業した9人の
JRA調教師のうち7人が今週、管理馬を出走させる。騎手時代は「カッチー」の愛称で親しまれた
田中勝春師(54)が土曜中山12Rにデイジーを送り出せば、
JRA初の女性トレーナー・
前川恭子師(47)は日曜阪神7Rに
テクネチウムをスタンバイ。初陣勝ちを目指す。
服装は信条を表す
シンボルという。
田中勝春厩舎の真新しいユニホームの背中には大きく「HIGH TAIL」と
プリントされている。直訳すれば高い尾。馬は元気な時に尾を高く跳ねて見せることから「人馬ともフレッシュに元気にいこう」との願いを込めた。
ユニホームの配色は紺のベースにピンク袖。「紺は宗像厩舎、ピンクは石毛厩舎のカラーだったから」と田中勝師は説明する。4日付で引退解散した宗像厩舎から
ラーグルフ(23年
中山金杯優勝)など23頭、石毛厩舎からも管理馬を引き継いだ。両厩舎への敬意がデザインに込められている。
「スタッフも宗像厩舎から5人、石毛厩舎から3人。大半が騎手時代からの顔なじみだから。開業初日(5日)のミーティングでは“気を付けてやりましょう”と話した。明るく元気で楽しい厩舎にしたい。いい雰囲気からいいアイデアが生まれてくるだろうし」と続けた。HIGH TAIL、馬が尾を高くはね上げるような活力あふれる厩舎づくりである。
開業まで1年間の技術調教師時代には海外研修で4カ国を回った。英国では
スノーフェアリー(10、11年
エリザベス女王杯連覇)などを管理したダンロップ厩舎を訪問。「馬房が80ぐらいあって凄いスケールだけど、馬のしつけも違う」。一昨年12月の調教師試験合格会見。理想の厩舎像を問われて、「相撲部屋」と即答した。「一生懸命稽古して、一生懸命食べて、一生懸命休む。それが馬にとっていい。ラ
イバルの尻尾に食らいついてでも追いかけるようなしぶとい馬、皆が見ていて楽しい馬を育てたい」
12馬房(管理馬上限30頭)でオープンした
田中勝春部屋。1週目は土曜中山12R(4歳上1勝クラス)にデイジー(牝4)を送り出す。「宗像先生が残してくれた馬。順調にきている」とコメントした勝春親方。「目標?まずは1勝です」(美浦取材班)
◇田中 勝春(たなか・かつはる)1971年(昭46)2月25日生まれ、北海道三石町出身の54歳。89年、美浦・藤原敏文厩舎所属で騎手デビュー。
JRA通算2万657戦1812勝、うち重賞51勝、G1・2勝(92年
安田記念ヤマニンゼファー、07年
皐月賞ヴィクトリー)。24年、調教師免許取得。実家は三石町の生産牧場。趣味はゴルフ。
スポニチ