日曜阪神の番組表に見慣れぬ名称。11Rに米子城ステークス(4歳上・OP・芝1200m)なる一戦が組まれている。昨夏までリステッドして行われていた
米子SがしらさぎSに改称され、代わりに今年から生まれた競走名。先週末には
大阪城Sが実施され、今年2月は小倉城Sもあった。ときどき目にする「お城」と名の付くレースタイトル。
JRAにはいくつ存在するのか、新たな“城競走”を前に調べてみた。
24年を振り返ると、計7競走が行われていた。2月の小倉城Sはダ1700mの3勝クラス。戦国末期の1569年に中国地方の毛利氏が築いた。現在の天守閣は1959年に市民の熱望によって再建されたもので、北九州市の
シンボルになっている。先週末、
デビットバローズが2馬身半差の素晴らしい勝ち方を見せた
大阪城Sは、安土桃山時代に築かれた城が由来。国の登録文化財にも指定され、天守閣の周辺は大阪城公園として、市民の憩い、集いの場となっている。
金のしゃちほこが
シンボルの名城から取った
名古屋城Sは、21年からオープン特別となった。過去の勝ち馬には
テーオーケインズや
オーヴェルニュ、
グロリアムンディと重賞レベルが並ぶ。リステッド競走の安土城Sは、短距離路線の一端を担っている。12年にはのちのJpnI馬
ドリームバレンチノ、23年に同年の
スプリンターズSを勝つ
ママコチャが制覇した。なお、築城主である織田信長が本能寺の変で倒れた後、安土城は焼失。そのため現在は天守閣はなく、石垣だけが残っており城跡として整備されている。
昨年6月に行われた熊本城Sは13年ぶりの実施。そんな熊本市の名所は、16年に発生した熊本地震で大きな被害を受けたが、21年3月に天守閣が完全復旧。再び内部を見ることができるようになっている。鶴ヶ城Sは会津若松市にある会津若松城を指し、現在は福島ダ1700mの3勝クラス。古くは85年に同年の
七夕賞、
新潟記念を勝利する
ロシアンブルーが制している。そして、新発田城は別名あやめ城とも呼ばれる新潟の平城。21年にはのちにヴィクトリアMで大波乱を巻き起こす
テンハッピーローズが勝利した。
重賞馬
アグリなど26頭が登録している今週末の米子城Sは、山陰随一の名城がその由来。明治維新の後に建物は取り壊されたが、秀峰大山や日本海、市街地を臨む城跡は絶景という。ほかに昨年行われていないものでは、高田城、青葉城、勝山城、竹田城、小峰城、鮫ヶ尾城、霞ヶ城などがレース名に使われたことがあった。今後も各地で行われる“城”を制し、天下統一に名乗りを上げる馬は現れるか。レースの際には各地の名所に思いを馳せながら、戦いを見守っていきたい。