春の中京開幕メインは古馬G2の「第61回
金鯱賞」(1着馬に
大阪杯優先出走権)。当レース3連覇が懸かる
プログノーシスを筆頭に、今年も春の大舞台を目指す実力馬がそろった。95年
サマニベッピン以来(当時はG3のハンデ戦)、30年ぶりの勝利を狙う牝馬は3頭がエントリー。中でも良血
ラヴェルは4歳の昨秋に本格化を印象づける走りを見せた。4歳秋にG1初制覇を飾った半姉
ナミュールのように、
ビッグタイトルを目指して始動する。
牝馬にしては珍しい再ブレークの血統。
ラヴェルはデビュー2連勝を飾った後、9戦連続で馬券圏外に敗れた。2走前の
エリザベス女王杯で2着に好走。きっかけをつかむと、前走チャレンジCで22年
アルテミスS以来、2年1カ月ぶりの勝利を挙げた。ここから再びG1タイトルを目指す。
担当の福岡助手は「2連勝してクラシックを目指せると思ったけど、折り合いやゲートの課題が出てきた。クリアするのに時間を要しましたね」と悔しい日々を振り返る。こんなもんじゃない。陣営は力を信じ、調整面を工夫してきた。以前は1週前にCWコースで追い切り、最終追いは坂路のパターン。それを昨春からはCWコース中心に替え、日曜もコースに入って時計を出すようになった。
それだけ攻められるようになったのは、しっかりカイバを食べるようになったことが大きい。「特に昨秋からはカイ食いが良くなった。精神面も安定しているし、普段の調教から加減せずに攻めることができている」と好走の要因を挙げた。
血統的な成長過程も後押し。高野厩舎に所属した半姉
ナミュールも22年
チューリップ賞で重賞初制覇を飾った後、1年7カ月以上も勝てなかった。4歳秋になってカイ食いが良くなり、デビュー当初430キロ前後だった馬体が454キロまで増えて
パワーアップ。23年
マイルCSでG1初制覇を飾った。デビュー当初444キロだった
ラヴェルも昨秋は470キロ前後で出走。福岡助手は「高野先生(調教師)と話す機会があって、似ているなと思った。古馬になってからカイ食いが良くなったし、姉妹で通ずるところがある」と目を細めた。
矢作厩舎にも古馬になって本格化した牝馬
リスグラシューがいた。4歳秋の18年
エリザベス女王杯でG1初制覇を飾り、翌年は
金鯱賞から始動して2着。
宝塚記念、
コックスプレート、
有馬記念とG13連勝で現役を締めくくった。同じキャロット
ファームが所有していた偉大な先輩のように飛躍を誓う。「もっと上を目指したい馬だし、昨年より上を目指せる手応えで来ています」。まずは25年の好スタートを切り、再ブレークの勢いを加速させる。
《G2に昇格後牝馬は2着が最高 牡馬の壁打ち破れるか》
金鯱賞は牝馬にとって鬼門のレースになっている。過去60回で牝馬の優勝は7頭いるが、95年
サマニベッピンが最後。当時はG3のハンデ戦で行われ、当レースがG2に昇格した96年以降では牝馬が【0・3・3・34】と勝ち切れていない。近年も21年
デアリングタクト2着(1番人気)、22年
レイパパレ2着(2番人気)と上位人気の牝馬が牡馬の壁を打ち破れなかった。
スポニチ