今月いっぱいで46年余の現役生活に別れを告げる“Mr.PINK”こと、
内田利雄騎手(63)=浦和・藤原智=の引退会見が17日、最終レース終了後の
浦和競馬場で行われた。長いジョッキー生活を「何の悔いもない」と振り返り、終始笑顔。今後は栃木県那須塩原市のNAR
地方競馬教養センターで、教官(マイスター職)として後進の指導にあたることになった。なお、浦和開催の最終日となる21日に引退セレモニー(12R終了後=18時30分ごろ、ウイナーズサークルにて)が行われる。
“桃、白星散、桃袖”のピンクの勝負服で会見場に登場した内田利は終始笑顔で「(ジョッキー生活)何の悔いもないけど、(ファンやマスコミの皆さんが)“ピンク・ロス”になることが唯一の心配」と得意のジョークで笑いを誘った。
78年10月7日の宇都宮競馬場デビューから46年余。同競馬場の廃止(05年3月14日)後は、それまでなかった“期間限定騎乗”の道を自ら切り開き、全国各地の
地方競馬場、さらにマカオ、韓国でも騎乗した“さすらいのピンク”生活。それは12年に浦和所属となるまで7年余に及んだ。
ラスト開催初日となったこの日は6鞍に騎乗。5R&メイン11Rと2勝(3613勝目)し〈2013〉と全て掲示板を確保。「まだまだやれるでしょ」と存在感を示し胸を張った。
ピンクにちなんだ20日の
桜花賞での騎乗こそ実現しなかったが、19日の
ネクストスター東日本では“北関東ライン”で元・高崎競馬出身の水野貴師が管理する
パラソーレと初コンビ。06年
九州大賞典以来の重賞Vを目指して“ラスト重賞”にチャレンジする。「最後のはなむけに水野調教師が声をかけてくれた。平常心で頑張りますよ」とキッパリ。最終日の21日まで、ど派手なピンク色から目が離せない。
内田利雄と一問一答
-今の心境は。
「けっこう前から考えていた。乗り鞍も減って勝ち鞍も少なくなってきたし、それに競馬新聞を見ても以前のような(レースへの)ヒラメキがなくなってきて、そろそろ潮時かなと思ってたところへ(教官の)話があった。昨年12月に決めました。今は晴れ晴れとした気分です。減量の苦労はあまりなかったけど、これからは何も考えずに食べたり呑んだりができるからね」
-悔いはない。
「新しくなった
名古屋競馬場で乗れなかったこと。それに
浦和競馬場でライヴができなかったことかな(笑)※1」
-ジョッキー人生を自己採点すると。
「気持ちは満点。競馬場が廃止になったのは悲しかったけど、好きな仕事ができて、いろいろな競馬場で乗れた。こんな幸せな人生はない。ボクが他のジョッキーだったら、うらやましいと思う」
-思い出の馬は。
「やはり
ブライアンズロマンと
ベラミロードの2大巨匠だね」
-今後は後進の指導。第二のピンクを。
「やっていけるのか、すごく不安。実戦経験のない生徒たちに、どうかみ砕いて理解してもらえるのか。いまはそこに焦点を置いています」
-特技がファンサービスと言ってきた。ファンへひと言。
「いいレースをして、お客さんに喜んでもらえることを一番に、自分なりにやってきたつもり。ひとつ心配なのは皆さんが“ピンク・ロス”にならないかどうか。いつまでも心の中にいるので(笑い)大丈夫です。ありがとうございました。残り4日間、頑張ります」
※1 以前、「ひまわる」というバンドで、
リチャード・ピンクの名前でボーカルを務めた。なお引退セレモニーでは美声を披露する予定もある。
提供:デイリースポーツ