今年3月に定年となった宗像義忠調教師は、
バランスオブゲームと
フェイムゲームの兄弟など、数多くの個性派を育てた。そんな伯楽の唯一のGI勝利が22年の
高松宮記念。元所属の
丸田恭介騎手とともに
ナランフレグで制した一戦を振り返る。
前日の雨の影響が残り、重馬場で行われた一戦。ハナを奪ったのは
レシステンシアだった。前年に
高松宮記念、
スプリンターズS、
香港スプリントと国内外GIで2着3回。単勝2.2倍の1番人気に推された快足牝馬が快調に飛ばした。2番人気の
メイケイエールは中団、3番人気の
グレナディアガーズは後方から。波乱の主役となる
ナランフレグも馬群の後ろで脚をためた。
勝負の直線は実況アナウンサー泣かせの様相となった。粘る
レシステンシアに並びかける
ジャンダルム。しかし、この4枠2頭は残り200mを切ると勢いが鈍る。外から迫る
キルロードと
ロータスランドの5枠2頭。内からは
トゥラヴェスーラ。そして最後にやってきたのが
ナランフレグだ。内を突いて脚を伸ばすと、ゴール前でグイッとひと伸び。最後は外の
ロータスランドをクビ差抑え、9着までが0秒3差というGIでは稀に見る大接戦を制した。
使われながら力を付けてきた
ゴールドアリュール産駒。それまで重賞では善戦止まりだったが、GI初挑戦で大仕事を成し遂げた。開業30年目の宗像調教師、デビュー時に宗像厩舎に所属していた16年目の丸田騎手にとっても、嬉しい初のGIタイトル。丸田騎手の嬉し涙が印象的な一戦となったのだった。