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上原佑師が胸に刻む英国恩師の言葉

スポニチ
  • 2025年03月21日(金) 05時25分
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 【競馬人生劇場・平松さとし】16日に行われたスプリングS(G2)をピコチャンブラックが制した。皐月賞(G1)への出走権を手にした同馬を管理するのは、上原佑紀調教師。23年に開業したばかりの35歳。若きトレーナーにとって、初めての重賞制覇となった。

 上原佑師の父は現役調教師の上原博之師。06年の天皇賞・秋、マイルチャンピオンシップ連覇(06、07年)など、G1を5勝した名馬ダイワメジャーを手がけた伯楽だ。

 上原佑師は小学3年の時、乗馬を始めると高校時代は全日本ジュニア選手権優勝、日本大学獣医学科在学中にも全日本学生馬術大会を制すほどの腕前を誇った。大学卒業後は、美浦トレセン内の診療所で獣医師として勤務。しかし、馬を管理する立場への思いが募り、調教師を志すようになった。そんな折、ノーザンファームに転職した彼の前に、1頭のダイワメジャー産駒の牝馬が現れる。

 「それがポールヴァンドルでした」

 父の厩舎へと預けられると17年の秋華賞(G1)に出走(9着)した。

 「自分が関わった馬がG1に出たのは初めての経験で、本当にうれしかったです」

 しかしその頃、彼自身は欧州にいた。名門W・ハガス厩舎でアシスタントトレーナーとして研修を受けていた。ハガス師は近年では昨年の愛チャンピオンS(G1)でシンエンペラー(3着)を破ったエコノミクスを育てるなど、今なお活躍馬を出し続ける名トレーナーである。

 「ハガス師は獣医師が見落とすような些細(ささい)な変化にも気づく方で、毎年のように活躍馬を送り出せる理由が分かりました」

 “馬の小さな変化に、誰よりも早く気づけるようになりなさい”。英国の恩師から贈られたこの言葉を胸に刻み、研さんを重ねた日々。そして今、夢見た調教師の道を歩んでいる。

 ピコチャンブラックとともに、まずはダイワメジャーと同じ皐月賞制覇を目指す上原佑師。いつの日か、英国で恩師と対峙(たいじ)することが、彼なりの恩返しとなるのかもしれない。 (フリーライター)

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