◆第62回
愛知杯・G3(3月23日、中京競馬場・芝1400メートル、良)
今年から施行条件が変更された第62回
愛知杯・G3(中京)は、10番人気の
ワイドラトゥールが初タイトルを手にした。
信じているからこそ、動かなかった。前半3ハロンは12年のコース改修後、芝1400メートルで最速となる32秒7。北村友と
ワイドラトゥールは激流の中でも落ち着いて、後方3番手に控えていた。徐々に位置を上げたのは3コーナー過ぎ。直線では迷わずに大外へ持ち出すと、全身を弾ませながら、ハイペースの影響で脚が鈍る内の馬をのみ込んだ。最後まで止まらない。突き抜けて、手綱を押さえ、重賞初制覇となるゴールに飛び込んだ。
「4コーナーで動かした時の反応がよかった。ペースが速くなりそうな感じでしたから、ついていかなくてもいいなと。瞬発力がこの馬の良さだと思います」と1馬身半差の完勝を振り返った北村友。2戦目から9戦続けて手綱を執る信頼が引き出した、極上の末脚だった。
熱い思いが背中を押した。「馬もジョッキーも100点満点」と温かい視線で人馬を見守ったのは藤原調教師。母の
ワイドサファイアも管理していたが、初のG1挑戦だった
オークスの返し馬で放馬。競走除外となった。大きなタイトルを取れないまま引退。産駒の
ワイドファラオは重賞を勝ったが、自ら手がけた馬でようやく勲章を手にすることができ「感慨深いな」と笑みを浮かべた。
今後は
ヴィクトリアマイル(5月18日、東京)へ向かう。トレーナーはこのレースで最多の3勝。ここ3戦勝利のない距離に挑むことになるが、「マイル仕様にしていかないといけないな」と目を光らせた。舞台は母がゲートインできなかった府中の大舞台。母子2代のドラマを紡いでいく。(山本 武志)
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ワイドラトゥール 父
カリフォルニアクローム、
母ワイドサファイア(
父アグネスタキオン)。栗東・
藤原英昭厩舎所属の牝4歳。北海道新ひだか町・フジワラ
ファームの生産。通算成績は10戦4勝。重賞初制覇。総獲得賞金は8479万円。馬主は幅田昌伸氏。
スポーツ報知