スマートフォン版へ

ナランフレグが勝った22年高松宮記念 丸田恭介騎手の悲願G1初Vに心揺さぶられた

デイリースポーツ
  • 2025年03月25日(火) 06時00分
1 17
 今週末は高松宮記念が行われる。記者が競馬を仕事にするようになってから約27年で、シーズン中は毎週のようにG1を見る生活を送っている。年を取ってふと感じるのが、ファンや競馬記者になりたての時代と比べて、レースに対する高揚感が薄れたこと。仕事として捉えてしまい、感情をストレートに表現できなくなった。そんな記者が心を揺さぶられたレースがある。それはナランフレグが勝った22年高松宮記念だ。丸田恭介騎手(38)=美浦・フリー=の勝利騎手インタビューを見て泣きそうになった。

 「ありがたいことに、そのような声をたくさん頂きました。涙が出たとか。素直にうれしかったです」と感慨深げな丸田。デビュー16年目で手にした栄冠。ただ、レース後に派手なガッツポーズはなく、勝利騎手インタビューでは涙をこらえることができなかった。「レース後は今の若い子みたいに冷静なガッツポーズができなかったし、ウイニングランをしていても“本当に勝ったのかな”と心配になったくらい。インタビューも何をしゃべったのか覚えていないです」と振り返る。全てが自然体で、丸田恭介という男の人間臭さが全面に出ていた。それが記者を含め、見ている人の心に響いたのだろう。

 G1を勝つことはジョッキーを目指した時からの夢だった。しかし、G1のステージにすら立てない現実を突きつけられてきた。「もう勝てないと思いましたね。シーズンが始まると毎週のようにG1が行われるけど、いきなり声がかかるわけでもない。自分の置かれている状況は分かっているつもりです。では、どうすればG1に乗ることができるか。下のクラスからちゃんと勝ち上がらせて、一緒に1段ずつ階段を上っていく形こそ、自分がG1騎乗にたどり着く一番のやり方だと思います」と説明する。ただ、これには時間がかかる上に、それだけの素質馬と出会えるチャンスも限られている。「実はナランフレグが3勝クラスを勝った後に、この馬でG1を勝つと宣言しました。そんなことを言う必要はないけど、自分が後ろ向きにならないように」。ナランフレグに感じた可能性。それを信じて、あえて自らを追い込んだ。この時の高松宮記念が、その“限られたチャンス”だったのだ。

 順風満帆のジョッキー人生ではないが、実直に前だけを見据えて進んできた。そんなタイプだからこそ応援したなる。丸田に今後の目標を聞くと、「もう一度、G1を勝ちたいです。重賞も勝てないし、そのような舞台にもたどり着けていないけど、G1を勝ちたい。もしナランフレグのような馬にまた出会えたら、一つ一つの積み重ねを大事にしてG1を目指したい。それが目標です」と前を向く。簡単でないことは分かっている。それでも目指す理由を聞くと、「ジョッキーが楽し過ぎるから」と笑顔を見せた。次にG1を勝った時はどんなインタビューになるのだろう。22年高松宮記念は、記者にとって忘れられないレースの一つとなった。(デイリースポーツ・小林正明)

提供:デイリースポーツ

みんなのコメント 1件

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す