迫力満点の動きで絶好の仕上がりを印象付けた。芝ス
プリント春の頂上決戦「第55回
高松宮記念」(30日、中京)の追い切りが26日、東西トレセンで行われ、前走
阪急杯を制した
カンチェンジュンガ(牡5=庄野)は栗東坂路2番時計タイを叩き出す超抜リハ。名手・
武豊との再コンビでG1獲りにチャレンジする。同レースは27日に出走馬が確定、28日に枠順が発表される。
絶好の手応えで駆け上がった。
カンチェンジュンガは朝一番に坂路へ。
ヴァンヤール(7歳オープン)との併せ馬はテンから抜群の行きっぷり。馬上の厩舎スタッフが手綱を抑えながらも自然とスピードに乗っていく。追い出される僚馬とは対照的に馬なりのまま4馬身先着。自己ベストにコンマ3秒差まで迫る4F(800メートル)49秒8(1F12秒7)と、この日の栗東坂路2番時計タイとなる猛時計を楽々と叩き出した。今の充実ぶりがはっきり表れている。チェックした庄野師は「予定より時計は少し速くなったけど引っ張り切り。前走後も順調に来ていますよ」と納得の表情で切り出した。
昨年2月のオープン昇級後は歯がゆいレースが続いた。昇級初戦の
春雷S以降は末脚勝負の
スタイル。ただ、脚質的に不向きな展開に泣くことがあれば行き場を失う不運な敗戦もあって6連敗。「前が詰まったり、いい競馬ができなかった」と悔しさをにじませる。
その流れを断ち切ったのが前走
阪急杯だ。いつも通り後方で構えて道中、適度にペースが流れ、直線で外に持ち出すと自慢の末脚がさく裂。今までのうっぷんを晴らすかのように鮮やかに差し切って重賞初制覇を飾った。「流れが向いたのもあるけど、外に出してからいい脚を使えた。改めて強いなと思った」と笑みを浮かべる。確かな手応えをつかみ、G1につなげた。
23年3月19日の1勝クラス(5着)以来、2度目のコンビとなる
武豊を鞍上に迎え、大一番に臨む。芝1200メートルのG1になってからでは05年
アドマイヤマックス、07年
スズカフェニックスで2勝している名手の存在が心強い。庄野師は「スタートは出るけど最初の2完歩、3完歩目がもっさりしているのでG1では少し忙しくなると思う」と気を引き締める。それでも、しまいは確実。直線412・5メートルの追い比べは望むところだ。「簡単には前が止まってくれないと思うけど、うまくかみ合えば」とイメージを膨らませる。前走Vの勢いに乗って一気に頂点を目指す。
≪4組目父子Vへ≫
カンチェンジュンガの父
ビッグアーサーは16年
高松宮記念の勝ち馬。96年のG1昇格後、父子制覇は
キングヘイロー(00年)&
ローレルゲレイロ(09年)、
ロードカナロア(13年)&
ダノンスマッシュ(21年)、
ロードカナロア&
ファストフォース(23年)の3組が達成した。また、曽祖
父サクラユタカオー(86年
天皇賞・秋)、祖
父サクラバクシンオー(93&94年
スプリンターズS)、父
ビッグアーサーに続く父子4代
JRA・G1制覇も懸かっている。
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カンチェンジュンガ ネ
パール東部とインド・シッキム州の国境にそびえる高峰。標高8586メートルはエベレスト、K2に次いで世界第3位。
スポニチ