今から20年前、05年の牝馬クラシック戦線は現調教師の
福永祐一騎手が主役だった。というのも後に名牝と言われる2頭、
ラインクラフトと
シーザリオがお手馬だったからだ。ここで取り上げるのは唯一の直接対決となった
桜花賞。
福永祐一騎手が
ラインクラフトに騎乗し、吉田稔騎手と初コンビを組んだ
シーザリオに生涯初の黒星をつけた一戦を振り返る。
5頭が単勝10倍未満となった牝馬クラシック第一弾、1番人気に支持されたのは
シーザリオだった。デビュー3連勝でフラワーCを制覇。福永騎手が
ラインクラフトに騎乗するため、名古屋所属の吉田稔騎手との新コンビで挑んでいた。そして4.6倍の2番人気で続いたのが
ラインクラフト。ここまで重賞2勝を含む4戦3勝。前年の阪神JFは3着に敗れていたため、雪辱を期す一戦だった。
レースでは福永騎手の手腕が光った。旧・阪神芝1600mで不利といわれたピンク帽の17番枠も何のその、ジワーッと好位に取り付いて折り合いをつける。一方の
シーザリオは中団のイン。馬群の中で脚をためる形となった。迎えた4角、福永騎手が仕掛けると
ラインクラフトが加速。粘り込みを図る
デアリングハートを残り200mで捕らえ、先頭に躍り出る。これを追うように脚を伸ばしたのが
シーザリオだ。一完歩ごとに差を詰めて並びかけたがここまで。最後は
ラインクラフトが
シーザリオをアタマ差凌ぎ、GI初制覇を果たした。
この後、
ラインクラフトは
NHKマイルCでGI・2連勝を果たす。一方の
シーザリオは再び福永騎手とコンビを組み、
オークスと米G1・アメリカン
オークスを連勝。
福永祐一騎手はこの年の春、2頭で4つのG1を獲得することとなったのだった。