◆ドバイ・ワールドC・G1(4月5日、メイダン競馬場・ダート2000メートル)
【ドバイ(UAE)3日=ペン・水納愛美、カメラ・高橋由二】
JRA海外馬券発売対象の第29回ドバイ・ワールドC・G1(メイダン競馬場、日本時間5日26時30分発走予定)に、
フォーエバーヤングが断然のV候補として出走する。史上初のサウジCからの連勝が懸かる一戦。担当の渋田康弘助手(62)=栗東・矢作厩舎=を直撃し、日々の世話をする立場から見た仕上がりや強さの理由を聞いた。
世界一の愛馬とともに、メイダンを沸かす。
フォーエバーヤングをデビュー時から担当するのは、この道40年超のベテラン渋田助手。もともとは騎手を志していたが、当時は今より合格率が低く断念。84年から調教助手になった。その後、05年に矢作厩舎に開業スタッフとして加入。調教騎乗を専門とする「攻め専」として、多くの活躍馬に関わった。
転機が訪れたのは16年。左肩腱板を損傷し、約10か月休養した。その間にドバイ・ターフを制したのが、自らも騎乗していた
リアルスティール。「病院のベッドで見て、悔しくて泣きました」。今回は、その産駒とドバイ最大のG1に参戦。「みんなが、神が与えてくれたって言います。何が何でも、ヤングは僕のところに来たと思います」と運命を感じている。
昨年のサウジダービー、UAEダービー、
ケンタッキーダービーの3連戦では、最後に
ピークを持ってくることが使命だった。しかし米国では、検疫が長引いたことで疲労が蓄積。限られた飼料しか使えないなど、試練が多かった。今回の2連戦では、日本から持ってきた治療器具がサウジアラビアで故障するなどハプニングもあったが、ドバイまで絶好の状態をキープ。「去年の経験があったので、計算しやすかったです」とうなずく。
渋田助手が特に評価するのは精神力。「(サウジCに続いて)いろんな回避馬が出ていますが、この馬は2戦目から『ここを使う』と言ったレースを10戦使っている。確実に、狙ったレースに出走できるのが一番のストロングポイント」。どんな環境でも懸命に走るタフさに目を細めた。この日はメイダン競馬場のダートコースをダクで1周、キャンターで1周半。調整は予定通りに進んでいる。
今回は1強ムードだが、「ケ
アレスミスがないようにしたい」と油断は全くない。海外G1連勝に向け、最後まで抜かりなく仕上げを施す。
◆渋田 康弘(しぶた・やすひろ)1962年9月21日、北海道生まれ。62歳。84年から調教助手として勤務。中村好夫、安田伊佐夫厩舎などを経て、05年に開業した矢作厩舎に攻め専として加入。16年のけががきっかけで理想の騎乗ができなくなり、持ち乗り助手に転身した。ドバイ・
ゴールデンシャヒーンに出走する
アメリカンステージも手がけており、今回は担当馬2頭出し。
スポーツ報知