3歳マイル王への
ステップレース「第34回
チャーチルダウンズC」が5日、阪神競馬場で行われ、2番人気
ランスオブカオスがデビュー2年目・
吉村誠之助(19=清水久)の冷静な手綱さばきに応えてV。人馬ともに重賞初制覇を飾った。2着
アルテヴェローチェ、3着
ミニトランザットまでが
NHKマイルC(5月11日、東京)の優先出走権を獲得。
フレッシュな人馬が重賞初制覇をつかみ取った。直線、馬群の間を割った
ランスオブカオスが突き抜けてV。勝ち時計1分32秒2はレースレコードだった。勝利に導いたデビュー2年目の吉村は「本当にうれしい」とかみしめる。検量室前では観戦に来ていた、公営・兵庫を代表するジョッキーの父・智洋と抱き合って喜びを分かち合った。
デビューから4戦連続のコンビ。これまでは末脚を生かす
スタイルも、この日は一転、好スタートを決めると先行集団につけた。直線では前が壁になりかけたが、鞍上は1頭分の隙間を逃さず、果敢に突っ込んで抜け出した。「外に(岩田)望来さんがいて空かなそうだったので、何とか内で我慢して空くのをずっと待っていました。一瞬空いたスペースにひるまず、いい脚で突っ込んでくれました」とパートナーを称える。
19歳で手にした重賞初制覇は、24年にデビューした同期の中で一番乗り。ホープは地方で3600勝を挙げる父の影響で騎手を目指した。デビュー年に
JRAで33勝を挙げ、今年は16勝。着実に
ステップアップしている。鞍上は「権利を取って向かうよりも、勝ち切って
NHKマイルCに向かいたいと思っていた。G1の舞台でも能力の高い馬なので」と力を込めた。
見守った
奥村豊師は「非常にいい競馬。ゲートのタイミングが良く、ある程度のポジションを取って折り合いもついていた。収穫というよりかは、大丈夫だなというのをしっかり確認できました」とかみしめた。
急成長した人馬のタッグは昨年の
朝日杯FS(3着)に続き、
NHKマイルCで2度目のG1に挑戦する。指揮官は「左回り、輸送など経験したことはないけど、厩舎としてしっかり準備していきたい」と先を見据えた。若きフレッシュなコンビがあうんの呼吸で、大仕事を成し遂げる。
◆
ランスオブカオス 父
シルバーステート 母ハイドラン(母の
父ローエングリン)22年3月27日生まれ 牡3歳 栗東・
奥村豊厩舎所属 馬主・五影慶則氏 生産者・北海道新ひだか町のフジワラ
ファーム 戦績4戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金7683万8000円 馬名の由来は混沌(こんとん)に対する槍(やり)。
《父も納得「うれしい」》阪神競馬場で息子・誠之助の重賞初Vを見届けた
吉村智洋(40)は「安心して見ていられた。素直にうれしいですね」と笑みがこぼれた。「常日頃から大外に回すなと言っている。内に詰まってもいいから、内を突けと。本人も腹をくくって乗っていたと思う」と満足げな表情で語った。
スポニチ