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競馬学校入学式に思う「競馬界の未来」 "現場のなり手不足"は騎手の世界にも

デイリースポーツ
  • 2025年04月08日(火) 06時00分
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 4月1日、千葉県白井市の競馬学校で騎手課程第44期生の入学式が行われた。あいにくの冷たい雨が降りしきるなかでの門出となったが、女性2人を含む9人の若者はスタージョッキーになるという大きな夢を胸にこの日、出発地点に立った。

 ただ、少し気になったことがある。今年の騎手課程の応募総数は198人。昨年より1人増加しているとはいえ、最も応募者の多かった98年の761人と比べると4分の1ほど。騎手を目指す若者の数は明らかに減少傾向にある。

 24年のJRA年間売り上げは約3兆3337億円で、13年連続の増加。競馬(馬券)人気に陰りは見えないが、“現場のなり手不足”は進む一方だ。少子化の影響はもちろんあるが、体重制限やケガのリスクといったさまざまな要因からジョッキーという職種自体が“将来の選択肢”の一つとして考えにくくなっているのかもしれない。

 騎手という仕事が昔より特別な存在になってきているなか、今春入学した9人は、それぞれ強い動機と覚悟を持って門をくぐる。池添学師の長男・陽(ひなた)君は、祖父の兼雄元調教師が管理し、伯父・謙一が騎乗したヤマカツエースの17年金鯱賞でのVシーンを見て「騎手になりたい」と思い、伯父が歩んだ道が“夢”ではなく“目指すべき職業”になったという。天皇賞・春Vのキタサンブラック武豊に憧れたというのが長谷川真之介君。その瞳には確かな決意が浮かんでいた。

 また今回、女性2人が入学したが、これも新たな時代の潮流かもしれない。角祈凛(すみ・きりん)さんと笠原暁子さんは、共に「勝ちたいレースは牡馬3冠と牝馬3冠」といった高い目標を掲げていた。今年のフェブラリーSで、R・キングが史上初の女性騎手によるJRA・G1制覇を成し遂げたばかり。性別の垣根を乗り越えて活躍できる土壌が整ってきたのは、日本の競馬界発展を考えれば喜ばしい傾向だろう。

 華やかに見える騎手の世界は決して甘くない。最低3年間は鍛錬を積まなければならず、入学した全員が同時に騎手免許を取得できるのは、むしろ珍しいケースだ。とはいえ、彼らは今春、競馬学校の正門に立つことができた。その姿は『競馬界の未来』そのもの。数年後、彼らがターフで輝く日を心待ちにしたい。(デイリースポーツ・刀根善郎)

提供:デイリースポーツ

みんなのコメント 43件

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  • ユウユウさん

    騎手不足って言うけど新人に騎乗数0とかこういうことやってるからますます少なくなるんじゃないですかね

  • kohak3さん

    30前後で中堅扱いとなって実力や待遇に大きな差が出てきて、覆すには奇跡みたいな馬との出会いを逃さない事が必要な社会を見ていると、10代若者の描くキャリアプランとしてはとてもきついなと思われる

  • Matiさん

    Mati MQWDEnU

    入ってもコネないとまともな馬乗れないし

  • ナナシさん

    ただでさえ村社会なのに少子化だからね

  • テルキーさん

    若手騎手限定特別競走、若手騎手限定重賞競走を作ってみては。

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