◆第85回
桜花賞・G1(4月13日、阪神競馬場・芝1600メートル)=4月8日、栗東トレセン
第85回
桜花賞(13日、阪神)に、
松下武士調教師(44)=栗東=が
ショウナンザナドゥと
ビップデイジーを送り込み、20年に
レシステンシアが2着で逃した桜冠を取りに行く。同一厩舎ワンツーなら1988年以来、37年ぶりだ。
桜舞う舞台に胸が高鳴る。松下厩舎の厩舎服は白地にピンクの袖。明るい色彩が目を引く。松下調教師は「
桜花賞取りたい、とかじゃない。(最初に所属した)安田伊厩舎と同じ柄です」と笑顔で明かしつつ、「
桜花賞か
オークスなら
桜花賞を勝ちたい。関西圏だからですかね」と続けた。今年は晴れ舞台に
ショウナンザナドゥと
ビップデイジーの2頭を送り出す。
それぞれの道を歩んできた。
ザナドゥはセレクトセール(当歳)で1億8500万円がつくなど早くから注目を集めたが、なかなか賞金を加算できず。当初の予定になかった報知杯FRを勝ち、やっとたどり着いた。「実は(2走前の)クイーンCの時に2着でもと思ったけど、今年はその賞金で(出走)はしんどかった。結果的によかったです」
デイジーは目立つ存在ではなかったが、入厩当初から乗り味の良さが評判だった。デビュー2連勝後の阪神JFでも2着に入り、前走の
チューリップ賞はかかりながらも3着と崩れず。実戦で良さが出る。「前回も勝ちにいったぶんで、悲観していません。ただ、こんな形で
桜花賞まで来たのは驚きがあります」と語る。
忘れ物を取りに行く。5年前の20年。1番人気で送り出した
レシステンシアがラスト100メートルで先頭に立った。「勝ったかな」と思った瞬間、
デアリングタクトに外から一気にのみ込まれた。「後ろからは来られないと思いましたけど、一頭だけ違う脚でしたね」。秋に史上初の無敗牝馬3冠を達成した名牝にねじ伏せられた敗戦は、今も悔しさとして胸に残る。
開業11年目で
JRA通算213勝。当面の目標は「30勝に300走。それに重賞3勝。3割30本30盗塁みたいにね」と、年間を通じて活躍する厩舎を目指す。地道な歩みを続けるなか、胸にあるのは「突き抜けないな」という思い。だが、若き二枚看板の競演は「突き抜ける」可能性を十分に秘めている。「本当に順調なので力を発揮して、最後にどちらかが勝ってくれれば。ワンツーが一番いいんでしょうけどね」。究極の理想へ全力で立ち向かう。
(山本 武志)
スポーツ報知