◆第85回
桜花賞・G1(4月13日、阪神・芝1600メートル)
第85回
桜花賞・G1(13日、阪神)の枠順が10日、確定した。
蛯名正義調教師(56)=美浦=が、
プリムツァールでクラシックに初出走。史上5人目の騎手&調教師での
桜花賞制覇を目指す。
かつての名ジョッキーは、変わらぬ信念でG1奪取を狙う。
プリムツァールで
桜花賞に挑む蛯名正調教師は、開業4年目で初めてデビュー前から自身が管理した馬でG1の舞台にたどり着いた。騎手時代には10年に3冠牝馬の
アパパネで制しており、調教師として初のクラシックへ闘志を燃やす。「期待馬を預けていただいて、出せることは非常に良かった。こういう馬を預けていただいて光栄です」と気を引き締める。
半兄
ドーブネは芝のマイル前後で活躍してオープンまで出世し、
イスラボニータ産駒の同馬も牧場時代から評判が高かったという。「牧場からいい馬と聞いていたし、乗ったらなるほどな、と。皮膚感だったり乗っての雰囲気、しなやかできれいに走れる馬」と指揮官。自らトレセンでの調教で騎乗した感触から、素材の良さにデビュー前からクラシックを意識してきた。
「点ではなく線」 当初は昨年10月の東京で初陣を迎える予定だったが、脚部不安により今年の1月までずれ込んだ。その初戦も2着に敗れ、中2週だった2戦目で初勝利。押せ押せのローテを余儀なくされたが、
アネモネS(2着)で優先出走権を獲得した。「これからというのがあるので、無理せずに(他の
トライアルではなく)できるだけ間隔を空け、そのなかで最善の形でこられた」。騎手時代から馬を「点ではなく線」で考えて育てる哲学が、
プリムツァールに詰まっている。
その父
イスラボニータは、ジョッキーとして14年の
皐月賞Vに導いた。「(大きな独特のフットワークだった)お父さんみたいな馬はなかなかいないけど、(筋肉の)柔らかさというのは通じるかな。あの馬も前向きな馬で、操縦性を上げるために厩舎と取り組んで2000メートルまでこなしてくれた」と蛯名正師。その娘も一戦ごとに落ち着きや操縦性が向上しており、指揮官の執念は実を結びつつある。(坂本 達洋)
◆蛯名 正義(えびな・まさよし)1969年3月19日、北海道生まれ。56歳。1987年3月に美浦・矢野進厩舎からデビューし、96年に
バブルガムフェローで
天皇賞・秋を制してG1初勝利。01年
マンハッタンカフェ、07年
マツリダゴッホでの
有馬記念や10年の
アパパネでの牝馬3冠などG126勝、重賞129勝。21年に調教師免許を取得し、
JRA通算2541勝の成績を残して引退して調教師に転身。22年3月に美浦で開業して、23年の京王杯ス
プリングC(
レッドモンレーヴ)で重賞初勝利。
JRA通算50勝。
スポーツ報知