【池江泰郎 匠の解説】馬場は「やや重」と発表された以上にタフなコンディション。見た目には「重」にも映ったので勝ち時計1分33秒1は紛れもなく速いタイムだ。勝った
エンブロイダリーと2着の
アルマヴェローチェは首差。2頭は同じ中団から末脚を伸ばしての決着だから甲乙つけ難いハイレベルな能力であることが証明された。さらに3着の
リンクスティップはポツンと離れた最後方から突っ込んでおり、着順以上の凄い脚だったことも付け加えておきたい。
涼しい顔で…との表現は大仕事をやってのけてもケロッとしている時などに使うが、勝った人馬がまさにそんな感じだった。道中は馬群でもまれても鞍上のモレイラの涼しい顔が思い浮かぶようだったし、名手のサポートを得た
エンブロイダリーもひるむことは一切ない。4角で前を割ってスペースをキープすると内と外のコース取りでいったん離れていた
アルマヴェローチェにもう一度、馬体を寄せていく瞬間も見逃せない。騎手の仕事として当たり前なのかもしれないが、まるで涼しい顔をしているかの余裕が伝わってくるから凄い。闘志に火をつけ、競り勝ったレース内容は
パーフェクトと評価できる。
雨中の決戦となった
桜花賞は重馬場の20年以来で当時の勝ち馬は
デアリングタクトだった。猛然と追い込んで勝利すると
オークス、
秋華賞で牝馬3冠を樹立。同じくタフな馬場で勝った
エンブロイダリーも同じ道を歩む可能性は高い。今年の
桜花賞が良馬場で行われていれば、ひょっとしたらワンサイド勝ちだったかもしれない。2冠目の
オークスがますます楽しみになった。(本紙評論家)
スポニチ