13日の福島メイン・
福島民報杯を田中勝師が
シリウスコルトで制し、今年3月に開業した9人の新人調教師全員が初勝利を達成した。個人的に注目しているのは、一番乗りで白星を挙げた
東田明士調教師(36)=栗東。3月16日の阪神5Rで単勝223・4倍の15番人気
ヴィーナスバブルで初勝利を挙げると、翌週にも5番人気の
ベルダイナフェローで2勝目をゲット。人気薄での激走が目立っており、穴党必見とも言えるルーキートレーナーだ。
指揮官は「チームでやるということを一番にやってきています。スタッフが和を大切に仕事してくれていて、いい流れで来られているのかな」とスタートダッシュの要因を分析する。「最終的に決めるのは調教師ですが、いろんな人の視点は大事。僕より経験のある方もたくさんいますし、さまざまな意見を取り入れることを意識しています」と、柔軟な思考で管理馬の育成に心血を注いでいる。
滋賀県出身。父に元騎手で、引退後は音無秀孝厩舎で調教助手を務めた幸男さんを持つ、いわゆる“トレっ子”。父の影響で幼少期から競馬に触れていたが、中学からはサッカーに夢中に。ホースマンを志したのは大学生の頃と遅かった。「就活を前に、したいことがなくて何をしようかなと考えていた時、漠然と“馬をやりたいな”と」。小学生時代以来の乗馬苑に通い、ノーザン
ファームへ就職した。
ノーザン
ファーム空港や、しがらきでキャリアを積み、競馬学校に入学。卒業後、池添兼雄厩舎に入るまでヘルパーとして7厩舎を回った。そこで得た経験が、今の厩舎運営に生きているという。
「高野厩舎の働き方は当時珍しかったんです。昔は個々でやるのが主流でしたが、高野厩舎はチームで。みんなで動いて、みんなでやる。それがいいなと思って、調教師になったらそういうふうにやっていこうと思いました」。担当以外が手入れすることで新たな気付きも生まれる。目を配るポイントも増え、「人に関してもいろんな馬を乗るので経験値が上がります」と、人馬双方にとってメリットが大きい。
技術調教師として所属した音無厩舎から、攻め専として迎えた生野、小林両助手の存在も心強い。「2人とも元騎手ですし、音無厩舎のそうそうたる名馬にも乗ってきて、大きなレースに向かう過程を経験していますから」。何事にも代えがたいノウハウを厩舎づくりに反映させている。
厩舎一丸で目指すのは、トップトレーナーの座だ。「一つでも上の着順を獲ろうと皆さんで話していますし、ゆくゆくはリーディングを狙いたいです。そして、コンスタントにG1へ出せる厩舎になりたい。応援してもらえる厩舎になっていかないと」。順調な船出を切った東田厩舎に、これからも熱視線を送りたい。(デイリースポーツ・山本裕貴)
提供:デイリースポーツ