波乱も珍しくない
スプリンターズSだが、単勝が万馬券となったのは一度だけだ。ちょうど四半世紀前、最低人気の
ダイタクヤマトが逃げ切った一戦を振り返る。
この年の
スプリンターズSはハイレベルだった。海外G1・2勝の
アグネスワールド、前年覇者の
ブラックホークなど、GIウイナーが7頭も参戦。加えて香港の
ベストオブザベストも遠征してきたことで、大いに盛り上がった。
レースは好発を決めた
ユーワファルコンが逃げた。これを番手で追いかけたのが
ダイタクヤマト。人気薄の各馬が前に行き、1番人気の
アグネスワールドは好位の直後。2番人気の
ブラックホークは中団で脚をためた。迎えた直線、
ダイタクヤマトが先頭へ。これを目標に人気の各馬がラストスパートを図るが、なかなか差が詰まらない。
江田照男騎手のムチに応えて必死に踏ん張る。ゴール前はさすがに脚が上がったものの、そこまでの貯金を生かして先頭でゴール。単勝257.5倍の最低人気馬が、あっと驚くGI初制覇を成し遂げた。
ただ、この勝利をフロック視するファンは多かった。実際、
ダイタクヤマトは次走のスワンSでも8番人気の低評価だったが、これに反発するように重賞連勝。続く
マイルCSでも4着に健闘すると、翌年には
阪急杯を制覇。ス
プリント路線の中心的な存在として、確かな存在感を発揮するのであった。