「香港国際競走」(14日、シャティン)
リスグラシューなどが活躍し、海外G1年間8勝という金字塔を打ち立てた19年。あれでわれわれ競馬ファンは“世界で勝つこと”に慣れてしまったのかもしれない。その思いをあざ笑うかのように、昨年はまさかの「0勝」。6年ぶりの未勝利という事実は重かった。
凱旋門賞の壁はともかく、得意としていたドバイや香港でも結果を出せず、テレビ越しにため息をついていたのを思い出す。
だが、25年はV字回復の年となった。反撃ののろしは2月、サウジの地で上がった。
シンエンペラーがネオムターフC(G2)を、
アスコリピチェーノが1351ターフス
プリント(G2)を制して弾みをつけると、サウジCで
フォーエバーヤングが香港の英雄
ロマンチックウォリアーとの名勝負を制した。
春には
タスティエーラが香港のクイーンエリザベス2世Cを制して復権。悲願の
凱旋門賞こそ来年以降に持ち越しとなったが、秋には今年最大の
ハイライトがやってきた。BCクラシックだ。再び
フォーエバーヤングが、今度は砂の本場アメリカで快挙達成。サウジと米国を完全制圧し、世界最強ダート馬の称号を手にした。
25年はここまで日本馬の海外G1「5勝」。その一方で、名牝
リバティアイランドの悲劇もあった。そんな激動の一年を締めくくるのが、今週末の香港国際競走だ。春に
タスティエーラが勝っているとはいえ、メンバーがそろう暮れの香港は難しい。事実、暮れの香港国際競走に限れば22年の
ウインマリリン(
香港ヴァーズ)以降、日本馬の勝利は途絶えている。ここ2年は地元馬や欧州勢の後塵(こうじん)を拝し続けてきた。
だからこそ、きっちりと勝ち切りたい。日本馬によるBCクラシックVという歴史的快挙を成し遂げた年だ。最後にミソをつけるわけにはいかない。
立ちはだかるラ
イバルは強力だ。
香港スプリントには今年7戦7勝、目下15連勝中と手がつけられない世界最強ス
プリンター・カーイン
ライジング(ブックメーカーで単勝1・08倍)がいる。
香港Cでは、サウジ&ドバイでの借りを返そうと日本馬打倒に燃える
ロマンチックウォリアー(ブックメーカーで単勝1・2倍)が待ち受ける。
香港ヴァーズには
凱旋門賞4着馬で、17年ぶりの連覇を狙う英国馬
ジアヴェロットや、
凱旋門賞3着の仏国馬
ソジーといった欧州の強豪がエントリーしている。
「0勝」からはい上がり、世界を席巻したこの一年。相手は最強レベルだが、最後も香港で“日本馬強し”をとどろかせ、最高の形でフィナーレを飾ってほしい。(デイリースポーツ・刀根善郎)
提供:デイリースポーツ