「第79回
日本ダービー・GI」(芝2400m)は27日、東京10Rに18頭で争われ、離れた先行集団でレースを進めた3番人気の
ディープブリランテが直線で抜け出し、ゴール前で猛追してきた5番人気の
フェノーメノ(2着)を鼻差しのぎ、3歳馬の頂点に輝いた。勝ちタイムは2分23秒8。さらに3/4馬身差の3着には7番人気の
トーセンホマレボシ。なお、1番人気の
ワールドエースは4着、2番人気の
ゴールドシップは5着に敗れた。
最後の直線。なりふり構わず岩田は、こん身の左ステッキを何度も振るった。「馬の邪魔をしてしまい、格好悪いゴール前でした。どちらが勝ったか分からなかった」。勝利の確信がなく、ウイニングランができずにダートコースへ。そして勝利が確定した瞬間、相棒の首に抱きつくと、あふれる涙をこらえ切れなかった。駆けつけた家族が見守るなか、口取りの際にはスタンドからの“岩田コール”に、馬上から人差し指を天に突き上げた。
「ダービーは意識しないと思っていたけど、やはり違う。感激です」。開業8年目、2度目の挑戦で念願の
ビッグタイトルを手にした矢作師は喜ぶ。同馬は今年、勝利に手が届いていなかったが、馬の力を信じる思いがブレることはなかった。「一番強いと思っていたが、運がなかった。運のなかった分、ダービーに吸い寄せられたのかな」と笑う。
凱旋門賞の登録をしていないことを悔やんだ。「失敗したと思う。このあとは
菊花賞、
天皇賞(秋)と決めつけないで馬に合わせて使いたい」。次の標的は定まってはいないが、これまでに4頭の遠征を経験するなど師の海外志向は強い。「
キングジョージとか。これからは種牡馬としての価値を上げなければならない。やはり世界へと思う。それだけの馬だから」。世代最強の座は奪った。今度は世界を−。ダービートレーナーの野心は尽きない。
提供:デイリースポーツ