川崎競馬の所属馬が日々トレーニングを積む小向調教場。ダートコースを照らす朝日を受けながら、
プレイアンドリアルが岡田繁幸オーナーの“御前”で寒風を切り裂いた。
「軽めでいい」(河津裕師)との指示を受けた町田直(レースは柴田大)を背に6F手前から徐々にスピードアップ。前日の降雨で走りやすい馬場だったとはいえ、重心が沈み込むとグングン加速する。鞍上の手綱はピクリとも動かず直線は馬場の真ん中へ。首を上手に使ってゴール板を駆け抜け、5F65秒8-37秒8-12秒3のタイムをたたき出した。
「入り(スタート)はフワフワしていたけど、ハミをかけてからはしっかりしたフットワーク。そんなに速い時計は出ていないと思ったけど…。やはりいい動きですね」と町田直は目を丸くする。トレーナーも「反応が良かったし申し分ない動き」と満面の笑みだ。
動きを凝視した岡田オーナーは「跳びがいい。まさに一流そのものだね」と満足そうにうなずいた。中央初戦となった前走の
東スポ杯2歳S2着後に、ホッカイドウ競馬の田部和厩舎から川崎へ転厩。だが環境の変化に戸惑うどころか、さらなる進化を遂げているようだ。「前走は負けるはずがないと思っていたからショックだったけど、初めての馬場でレコード決着。それでも首差だからね。改めてこの馬の能力を知ったよ」と振り返る。
自身が提唱し実現させた
地方競馬の外厩制度。その“第1期生”
コスモバルクで04年の
JRAクラシックへ挑んだが、Vはかなわなかった。雪辱の思いを乗せて「バルク以上」と言い放つ大器で、再び夢をつかみに来た。
「常にダービーを勝つためにやっている。執念と言ってもいい。それを可能にしてくれるだけの素晴らしい馬」。まずは2歳チャンプの勲章を射止めて、
皐月賞の出走権ゲットへ-。長きに渡る悲願成就へ大きく踏み出す。
提供:デイリースポーツ