6月1日(日)に東京競馬場で行われる第81回
日本ダービーに出走する
ショウナンラグーン(牡3・大久保洋吉厩舎)について、管理する大久保洋吉調教師と
吉田豊騎手の共同記者会見の様子をお届けする。
大久保洋吉調教師
「
青葉賞(GII・芝2400m・1着)が思ったより走ってくれましたし、だいたい仕上がっているとは思ったのですが、先週の追い切りは少し強めにやってみて、反応が良かったので、今週はあまりやらないという予定でした。だいたい予定通りの調教ができたでしょう。
青葉賞の前の3戦(500万下)が勝ち切れずに歯がゆかったですが、いずれにしてもダービーに向かって
青葉賞で良い競馬をしなければ仕方ないなと思っていましたし、長い距離は良いかなとは思っていました。ただペースが少し遅くて先行馬に有利な競馬だったですからね。それと
京成杯で行きすぎて失敗してから、その後はおさえる競馬をしていましたが、それがやっと板についてきて、折り合いも良かったので、あとはどれくらい終いの脚を使えるかなと思っていました。直線向いてから伸びてきて、あと1ハロンあたりでは5着くらいかなと思っていましたが、左手前に替えてからまた伸びてくれて、よし!という感じで2着はあるなと思ったら、うまく差し切ってくれました。やっぱり長いところが良いかなと思いましたね。
この馬に関しては、母親の
メジロシャレードや祖母の
メジロドーベルなどいろいろと思いがあって、どうにかウチでやりたかったですからね。それでまずダービー、もちろんダービーで終わりというわけではなく、秋もあると考えながらやっていました。
新馬におろした時は、まだ仕上がり切らないというか、まだ弱いところがあって、まあ元々トモがゆるいところがありますので、あまり慌てないでやろうということでひと息入れた後に、未勝利ですんなり勝ってくれました。
(デビューから暮れの中山の未勝利戦までの間の成長は?)天栄トレーニングセンターでいろいろやってくれたこともありますけど、元々少しトモの甘いところがありましたので、それがだいぶ良くなってきて芯が通ってきたと思います。最初来た頃は、常歩でもしっかり歩けないところもありましたのでね、ウチはウチなりにかなり鍛えてもきました。
その後は
皐月賞には間に合わないことはわかっていましたので、
青葉賞に向かっていこうということでやってきました。さほど詰めてレースに出走させていないので、消耗はほとんどないでしょうし、そういう意味では馬の力は出せる状態にあると思います。
10年前の
ハイアーゲームの時は、
青葉賞を良い時計で勝ちましたので、この時計で走ることができればダービーも勝てると思ったのですが、さらに速い時計で走る馬がいて3着に負けてしまいました。すごく悔しかったのですが、あのレースはレベルも高かったですし、運もなかったかなと思います。
この仕事に携わっている人は、ダービーを1番勝ちたいと思ってやっていることがほとんどだと思いますので、最後のチャンスの年にダービーに出られるということは、幸せだと思っています。
レースでは中団から後ろの位置取りで進むと思いますので、あまり枠順にはこだわりませんが、騎手の立場からすると真ん中あたりが乗りやすいのではないでしょうか。
3走前に体重が減り過ぎてしまいました。オーバーワーク気味だったのもあったかなと思っています。前走は6キロほど体が戻ってきたので、そのくらいの体重か、プラス2~4キロくらいで出られれば理想ですね。
終いの良さというのかな、
青葉賞でも1番切れる脚を使ったと思いますけど、それがあの馬の良さですし、それが生きる競馬ができればと思います。
ドーベルの
オークスの時は、
桜花賞で
キョウエイマーチに負けてしまって、どうにか巻き返ししたいなと思っていました。今の
オークスは、先週もそうだったように、ほぼ
桜花賞組が有力で、距離の適性よりも地力の差が出ますね。ですからドーベルの時は、折り合いが1番のポイントでした。
ラグーンは、馬の格好は種馬に似ていると思いますし、
シンボリクリスエスを管理していた藤沢君にもそう言われました。しいて挙げれば、気性がドーベルに似ているかなと思います。
何しろ鞍が装鞍所で置けないので、いわゆる厩舎装鞍と言って、それも厩舎の外でね、4人がかりで洗い場じゃないと置けないんですよ。まあ良い意味でカン性が強いのかもしれないですね。
母親も期待していたのですけど、事故で2戦で終わってしまったんでね、それとおばあさんがドーベルということで、あいつ(
吉田豊騎手)の初期の頃の騎乗馬でしたし、あの馬にも競馬を教わったというのも当然あるでしょうから、この馬に対する気持ちはジョッキーも強いと思いますよ。
競馬は長い歴史がありましてね、祖父の代からこの仕事をしています。
ショウナンラグーンの系統の
メジロボサツという馬が父のところにおりまして、朝日杯3歳Sに勝って、
桜花賞3着、
オークス2着で父も残念な思いをしたと思いますが、その系統がずっと続いて、私のところまで代々つながってきました。そういう部分も良く見てファンの皆様には楽しんで頂ければと思います」
吉田豊騎手。
「この馬の良さは、上手に折り合ってくれて、その分最後伸びてきてくれるところです。
青葉賞では、2400mに距離が延びて良い面が出てくれると思っていましたが、その通り上手に走ってくれて、最後まで伸びてきて結果が出てくれて良かったです。
(未勝利を勝った後が勝ち切れなかったが?)相手なりに走るところがあるので、メンバーが強くなってもそれなりに走ってくれてはいたのですが、最後抜け出すというところが、ちょっと足りずに負けていました。でもその分、馬も1戦1戦力をつけてくれていて、距離も延びたというのもあると思いますけど、この前は最後できっちり差してくれました。
とてもゆるい馬で、その辺はまだしっかりしていないので、まだこれからだと思いますけど、2歳時に比べると気性面は成長してきました。
青葉賞は道中うまく運べて最後あれだけの脚を使ってくれましたが、今回はその時と同じ舞台とはいえ、メンバーが強くなりますからね。自分の競馬をしてどこまで迫れるかという感じです。
前走も同じスタンド前からのスタートですけど、今回は歓声が全く違うと思うので、スタートするまでイレ込まないようにうまく誘導してあげたいと思います。
よくドーベルと似ているところは?と聞かれますが、ドーベルは最初入ってきた時から仕上がっていたというか、しっかりしていた馬だったのですが、
シャレードも
ラグーンも本当にゆるくて、力がついてきたらもっと良くなりそうだなという雰囲気でした。そういう意味ではあまりドーベルとは似ていないと思いますね。
先生や厩舎のスタッフと臨む最後のダービーなので、悔いの残らないように頑張りたいと思います。
ドーベルもずっと乗っていて、お母さんにも乗っていましたし、その馬の子で大きな舞台に出られることを夢見ていましたので、本当に嬉しいですし、何とか頑張ってもらいたいと思います」(取材・写真:佐々木祥恵)