日本ダービーの実況を16年間担当した長岡一也が競馬と人生観を語る
長岡一也
しぶとくとは、常日頃から願うことだ。では、しぶといとはどういうことか。我慢強くへこたれないとも受け取れるし、しつこく強情であるとも言える。競馬では、粘り強く諦めず、最後には帳じりを...
競馬は、実に後悔することが多い。ああすればよかった、こうすればよかったと。だが、後悔したときこそ、その思いを大切にしなければならないと言う教えがある。時に後悔は、私たちを後押しして...
かまびすしい、この騒がしいとかやかましいという意味の言葉、今ではほとんど耳にしなくなった。それだけ、やかましくあざとい姿が氾濫しているからではないかと思う。かつての産業社会から、現...
競馬場に行くと気が晴れる、そう感じることが多い。みんながそれぞれに夢を追いかけている仲間たちだと思えているからかもしれない。ところが、人の夢は儚い。そう簡単には実現してくれない。な...
生きていくのに不足を感じない、誰だってそうありたいと願う。では、どうあればいいのだろうか。第一に食べるもの、第二に着るもの、第三に住む所、つまり衣食住ということになるのだが、これさ...
志を持つ者の行為なり行動は、物事を私物化せず社会公共のために役立てようとする。そうした偉人がいたことを知るにつけ、心の豊かさとは何かを考えさせられてきた。道理に従えば心も豊かになり...
安らぎの季節までもう少しの我慢、そう思いながら本来の秋を待ち望んでいる。なのにその気配すらしない。強く狂おしい炎暑、天の打ち水が欲しい、清涼感あふれる夕立が懐かしい。こんな過酷な状...
競馬は勝負事だから、人によっては縁起を担ぐ。中には、占いの好きな者もいる。これは「徒然草」にも書かれているが、陰陽道で言われる赤舌神(しゃくぜつじん)の話は面白い。この神は六鬼を当...
何事にも逆らわない柔軟性があるか。困難にどう対応するか迫られたとき、状況を切る抜ける手立てとして、この心情、心構えは大いに生きる。柔軟性を持つことは知恵をつけることに等しく、それが...
「勝ちに不思議な勝ちあれど、負けに不思議な負けなし」、これはプロ野球の野村克也氏の言葉だが、実に味わい深い。考えに考え抜いてある境地に到達した者だから言える箴言だ。耳にした者ならす...
食事に作法があるのは、何を意味しているのか。きちんとできている人もそうでない人も、普段、そんなに気にはしていない。でもそう言われれば、どういうことかと興味を覚える。ずっと小さい頃に...
こう考えてみた。日々の生活で「あたりまえ」と思うところには、満足はないと。ではこの満足は、どういうときに得られるか。くどいようだが、「あたりまえ」と思っていたことが「あたりまえでな...
頃合いを知らなければ、ほどほどにを念頭にと教えられてきた。どれだけ守ってこられたことか。血気盛んは、確かに必要なときもある。その情熱は人を引きつける。あるときはムードメーカーであり...
こんなことを考えてみた。競馬を乱世に置き換えてみたらと。乱世を生き抜く術については、これまで多くの偉人たちの言葉が残されてきた。その中でも、孫子の兵法は今でも口にする者は多い。この...
人の上に立つ人物、リーダーの資質とはと問われたら、どう答えるだろう。なにがしかそういう状況に追い込まれることが、長い人生、たまにはある。ここで頭に浮かぶのが「弘毅」ーこうきという言...
こんな言葉がある。疾風に勁草を知ると。勁草とは強い草のこと、つまり激しい風が吹くと、弱い草は地べたにはいつくばってしまうが、強い草はそうではない。すっくといつまでも立っている。だか...
辛く苦しいことがあったとき、身の回りに聞いてくれる人がいるかどうか。こんな切実な思いに陥ることは滅多に無いにこしたことはない。だが、じっと堪えるのが美徳なのだとばかり自分に言い聞か...
結果は最初からわかっている、決していいことにはならないんだと、こんな気分のときがある。夢のかたまりがあまりにも重くてどう仕様もないという状況、こういうときによく訪れる。思い通りにな...
季節を感じることが、どれほど日々の暮らしの潤いになっているか。自然がいっぱいの競馬場に、それに近いものを感じている。とにかく新緑が美しい。正に輝いている。この春は、気温の上り下りが...
新茶に心ひかれる季節になった。若葉の雫を啜るという感じ、晴々しい匂いもいい。そして、色がまたいい。白磁の茶碗に半ほど注ぐその奥床しいのもいい。新茶をゆっくり楽しむことで、どこか余裕...
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