日本ダービーの実況を16年間担当した長岡一也が競馬と人生観を語る
長岡一也
言葉を友達に持つと、孤独感は薄らぐものだ。たった一人だと身が縮む思いになったら、その友達を連れてくるといい。意外な力を発揮してくれる。心の傷を癒してくれる言葉を集めた人生処方箋のよ...
世の中のことがうまくいかないからといって、嘆くことはない。世事、浮雲の如し、気にするなと、中国の自然派詩人、王維は述べている。外界のことごとに心を動かされる日々だと、ある種の境地に...
本物とニセモノ、その見極めを問うのが今回の総選挙と、どこを見回しても声高に叫んでいる。上からの目線で見下しているような態度はバツ、抽象的な言葉でしか自身の政策を語れないのもバツ、耳...
この心というものは、なにかに触発されて動くもののようで、例えば、楽器を手にすると音を立ててみようという気になるようなものではないか。差しずめ競馬なら、予想紙を手にすれば、直ちに勝馬...
環境や境涯によってこの世の中は生きにくく、そう感じることは多い。自分がひとかどの存在になっていればともかくも、そうでないのが普通だから、何かするにも心おきなくとはいかない。誰かの世...
暑い日が続く。当然ではあっても、つい愚痴りたくなる。しかし、これは野暮というもの。こういうときにこそ求められるのが痩せ我慢だ。この痩せ我慢を粋だとこの心に言い聞かせるとき浮かんでく...
この世の中に「不滅」は存在するのだろうか、存在するならどういうことになるのだろうか、ふとそんなことを考えていた。騎手の先達、競馬の先達、保田隆芳さんの死に接したからだ。かつて、保田...
なにか都合が悪くなったとき、笑ってこう言う、君子豹変すさと。こんな便利な言葉はない。秋から冬にかけて豹の毛が生え替わるので、このがらりと様子が変わることを豹変というのはわかるのだが...
かつて、競馬を愛し競馬に関する著述で若者の心をつかんだ詩人寺山修司は、多くの言葉を残した。その中で、競馬と人生を結びつけたくだりは、ある種のバイブル的存在になっていると言っていいだ...
こんな話がある。答えより質問の方がはるかに大きく見えるのだが、それは、質問は必ず答えをかくまっているからで、その分だけ大きく見えているのだと。確かにそんな風に感じられるし、なかなか...
悩みや深い悲しみの中で誰かが苦しんでいるとき、どうしたらいいのかかける言葉が見つからないことがある。そばに寄り添うだけでいいのだからと教えてくれても、本当にそれだけで大丈夫なのかと...
正見(しょうけん)、正しく見ると言っても、これは仏教での話。真理に基づいた正しい考え方をということだが、私どもは自分にとって都合のいい人をいい人と言い、都合のわるい人をわるい人と評...
よもやそんなことはあるまい、あるまいけれどと、いつも思いが揺れる。その迷いがいけないとわかっているのに、その方向にずるずると流されてしまう。そんな自分に“根拠のない自信を持て”とい...
日一日と迫る大一番。GI戦が続くこのシーズン、大目標を目前に各陣営の思いや如何に。毎年のことながら、桧舞台に送り出す側の心の内に思いが及ぶ。緊張感を持つことで、正しくレースに相対す...
思いも及ばぬことが続く。なのに、その中身は立派なのだ。なんとも情け無い。まるで駄目なのだから。少しでも近づく手だてはないものか。なにが足りないのか。こんな状況だからこそ思い起こす言...
人の身の上についてはとやかく言っても、自分のことは気がつかずにいるもの。けれども、自分のことをしっかり認識しないで、他人のことを知る道理がない。どんなに賢そうに見える人であってもそ...
こんな言葉がある。「勝とうと思って打ってはいけない。負けまいと覚悟して打つべきだ。どの手だと早く負けるかと考え、その手を使わず、一目でも遅く負ける手を使うのがいい」と。双六の達人が...
四季の移ろいに思いを馳せるとき、クラシックレースを戦う若駒たちにもそんな景色を見てきたような気がする。桜の花は真っ盛りを、月は曇りのない満月をのみ見るものであろうかと、永井路子さん...
他人と争わず、自分を抑えて人に従い、自分のことは後に、人のことは先にするのが一番いいと、徒然草では述懐している。とかく人間は、自分の心さえ楽しくなればいいと思いがちだが、これは人の...
「情けは人のためならず」と言ったら、競馬ではどう考えられるだろう。この諺は、「世の中は持ちつ持たれつなのだから、今人を助けておけば、いつか苦しい時に助けてもらえるものだ」という意味...
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