日本ダービーの実況を16年間担当した長岡一也が競馬と人生観を語る
長岡一也
競馬の日には人の心が派手になる。誰とでも友達になれてしまうから面白い。しかし、話が弾むほど一生懸命になるから、いいことがあればともかくも、大抵は打ちのめされるので捨てられた気分で終...
のらくら者の空想でも、たまには黄金の光を浴びることがある、折角そんな場面に遭遇できたのに、どうもあとが続かない。何もせずに頬杖ついていたのではない。今回は、深遠な理論とは言わないが...
のらくら者の言い抜け、これは競馬は便利だ。さらに想を練り、案を構えている最中なのだから、そう慌てるなとかわせばいいのだ。もっと苦しくなったら、沈黙は金を押し通し、次の機運を伺えばい...
気合いを入れてスタートする競馬の朝。始まればレースに気を奪われ、一喜一憂する時間が続く。成果が上がれば愉快にもなるが、普通は、ダメージをなにかに転化して気を取り直し、次のチャンスを...
自分がいま誰の懐の中にいるのか、ふとそう思ったとき、突然手荒く引き出され、あっという間に自動販売機に差し込まれていた。そこには仲間たちがたくさんいた。この先どこに行く運命なのか。み...
なんとしても、どうにもならなくなってしまうこと、競馬の中にはいくらでもある。どうにかなる、そう念じていても、突破口が見えて来ない。それなのに、どうにかなろうと毎日を過ごしていく。そ...
追いつめられたときの切り抜け方、これは案外重要だ。その都度きちんとけりをつけておかなくては、心の動きがとれなくなる。競馬の様々な場面に人生の縮図を見るとはちょっと大袈裟なかしれない...
自分らしく競馬の世界に当てはめてみるのも面白い。自分らしく生きるとは、多くも願っていること。しかし、どういうことか深く考えることはしない。なかなか見えてこないからだ。ところが競馬と...
一日一日は、何ひとつ間違うことなく、確実に過ぎていく。競馬の一日も、同じだ。さらに言えば、レースも。ならば、一日一日が最高の日であったらと願いたい。これはいずれの立場にあっても同じ...
月愛でる頃、果たして今年の秋はそのようになってくれるのであろうか。あまりにも荒々しい天候が続いたあとなので、本当に涼やかな気分が訪れるのだろうか。確かにいつもと異なる心もちでいる。...
四十年以上も競馬放送に携わってきて、今更そんなことという気もするが、時折訪れる心境が面白い。まぐれ当たりでも、それで損をしなければそれでいいのだが、そんなものは当てにならない。では...
少しばかり堅い話を。オリンピックが終わって落ち着いたところで、常々心に引っかかっていたことが浮かびあがってきた。最近のテレビのスポーツ報道には、ジャーナリズムという側面が蔑ろ(ない...
流通してこそ金の意味があると言い聞かせている。“金は天下の回り物”であって、人の手から人の手へと世の中を巡りめぐって行くから、やがては自分の手元にもどってくることになっている筈なの...
夢の御告げがあったといった類の話はよく耳にする。神仏が予言などを人間に告げ知らせるというのだが、残念ながらまだ経験したことがない。夢の中では、この世でお目にかかることのできない故人...
頼んでもいないのに、頻りに予想を述べてくれる人がいる。競馬を介して知り合いになると、こんなことがよくあるものだ。気分が軽いと、ついつい頭に浮かんだことを言ってみたくなり、それは、期...
どこか心の片隅で、いつも思っている。運を掴めばいいことがあると。成功の秘訣は、何といってもまず心掛けが第一なのだが、どうもそれだけでなく、運の有る無しが大きいようだ。成功と失敗をテ...
勝ち馬は、偶然に現われるものだろうかといつも自問している。そして、まぐれ当たりでもいいからとにかく当ててみたいと、こころはそっちに向かっていく。どう仕様もない。それでなんとかなって...
ひとが謎解きをしていく物語が捕物小説なら、競馬も、ひとが謎解きをする点は一緒と言える。ところが、こちらは解決しないことの方が多い。どのくらいの確率になるだろうか。ひとによって異なる...
成果主義、この扱いは難しい。突き詰めていくと苦しくなる。どう仕様もない焦りを覚え、そこから抜け出せなくなってしまう。世の中、これに市場原理の競争が加わり、結果を出せなければ評価され...
視点を変えて見てみる、そうすると新しいことに気付くことがある。思いがそこにいたるというのか、感づくというのか。年に一度しか会えない彦星と織姫を可哀そうと思う一般的な感情も、数十億年...
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