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今年の速攻組

  • 2008年07月11日(金) 19時00分
 2歳戦がはじまってまだ3週間しか経っていないが、計21レースで1番人気7勝、2番人気7勝なので、評価の高い馬が比較的順当に走っているように思える。ただ、POG的には、少なくともPOG本としてはなんとなく難しかった印象がある。

 その理由だが、まずはPOG本を編集する時点でキャッチしやすい「分かりやすい速攻系」が走っているわけではないということが挙げられる。象徴的なのがBRF、コスモヴュー組で、3週目までで、

・コスモ[1-0-0-8]
・マイネル[0-0-1-4]
・ドリーム[0-1-1-7]

 と、かつて速攻ブランドとしてならしたことを考えると、低調に見える。

 コスモユウコリンは強かったが、同馬とて4月の段階では絶対的存在だったわけではない。そもそも、早期デビュー組がぽんぽん勝ちあがっていた時代のマイネルでさえ、4月段階で一本釣りするのは至難だった。そこからさらに歩留まりが悪くなっているとなれば、厳しい話である。

 ちなみに、開幕3週で勝ちあがった21頭を見ると、馬主名義は21種類。すべてバラバラである。それだけ、早いデビューに向けた仕上げのスキルがあらゆる育成場に普及したということが考えられる。この仮説が正しいとすれば、岡田ブランドの馬は早さでなく、馬のポテンシャル重視で選ぶべきということになってくるだろう。

 生産牧場別では、社台ファームが[3-0-3-9]、ノーザンファームが[1-0-0-10]。一昔前は社台グループのブランド付きで早期デビューというと、それだけでポイントを稼いだ気になれたものだが、いまの時代はそう甘くはないようだ。

 ノーザンファームは育成馬を含めるとバイラオーラ(白老ファーム生産)、バンガロール(シンボリ牧場生産)もいるので、社台とノーザンを比べると、ほぼ互角というところではある。ただ、社台のほうが選り分けとしては分かりやすい。牡馬3頭はいずれも良いところがなく、牝馬11頭から3頭の勝ち馬が出ているからだ。この早期デビュー組に限らず、社台は牝馬のほうがPOG付加価値が高いように思える。

 この両牧場から勝ち上がった馬たちはいずれも新馬戦の直前にはそれなりの評価を得ていたが、POG本編集の時点ではなかなか難しかった。中には北海道を出た後でトレセンに入る前、という微妙なタイミングだった馬もおり、そうなると取材の網そのものにかかりにくい。

 速攻組というもの自体がPOG本と相性が良くないのかもしれないが、そうも言ってはいられない。来年の赤本を作る際には、早期デビュー予定馬のピックアップについて、もう少しうまい方法を考えたい。

※次回(7/18更新)は吉田竜作さんによる赤本紹介馬の近況レポートです。

筆者:須田鷹雄
 競馬ライター。各種新聞・雑誌に寄稿するほか、テレビ・ラジオの構成、出演も務める。主な出演番組は「クラシックパーク」(グリーンチャンネル)、「ドラマチック競馬」(北海道文化放送)など。


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