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関西有力厩舎レポート

  • 2008年07月18日(金) 19時00分
 今年もついに2歳戦が始まりました。すでに周囲のゲーマーも悲喜こもごもといったところですが、みなさんはいかがでしょうか。

 記者の立場から、まず真っ先に挙げなくてはならないのがエイシンタイガー。「エイシン軍団のエースで4番」などと言われてもてはやされましたが、入厩当初の様子を見る限り「やっちまったなあ!!」と誰もが思ったことでしょう。かく言う記者も頭を抱えた一人。

 その後、福永騎手からの「POGで指名した人たちにはあやまっておいて」という話を人づてに聞いた時には・・・、目の前が真っ暗になったものです。

 ところが、先日のデビュー戦では終始外を回らされ、直線でもフラフラして若さを見せながらも3着と健闘。「体に余裕もあったけど、いいデビュー戦だった」と福永騎手もまずは胸をなでおろしたよう。しかし、1番「ホッと」しているのは西園調教師だったかと思う。「外枠からあれだけ外を回ったし、勝負どころでは内側の馬に弾かれて更に外へ。それでも最後までよく伸びてくれた。勝ち馬と2着馬がロスなく回ったことを思えば、うちの馬も大きな差はなかったと思うよ。思ったとおりに芝の実戦で変わってくれたし、次は何とかなると思う」と舌も滑らか。

 次走は福永騎手とともに新潟へ参戦予定。是非、POならずとも注目してもらいたい。

 3回阪神で注目の勝ち上がり馬と言えば、ツルマルジャパンロジユニヴァースだったと思う。ロジはその後美浦に戻ってしまったので近況はわからないが、ジャパンの方はいたって順調。10日の坂路でも51.6秒と超抜タイムをマーク。テンション高めの馬だけにその後の様子が気になるところだが、「使ってからの方がおとなしくなったし、メンコをつけた効果も大きいね」と清山助手。このまま何ごともなければ、夏の2歳Sはこの馬のものとなるのではないか。

 そして、「今年の2歳はちょっと違うぞ」と同助手が語っていたとおり、ジャパンを脅かす存在が同じ厩舎から出てきそうだ。その馬こそユメヲカナエル(牡、父タイキファイヤー、母ミナミノエレガンス)。いわゆる「初めてびっしりやった」という2日の追い切りで52.6秒の好タイムをマーク。潜在能力の高さを垣間見せた。

 3回阪神の最終週も視野には入っていたが、「満を持して」小倉の開幕週へ待機。万全の状態でデビュー戦を迎えることになりそうだ。「血統は見なくていいよ。馬を見てくれ。スタートは抜けて速いし、いいスピードがある。しょっぱなから狙って大丈夫」というから、デビュー勝ちは約束されたと見ていいだろう。

 最近はPOGでも注目を集める厩舎となった大久保龍厩舎。早くも「目玉」の1頭、ロスパンチョス(牡、父フレンチデピュティ、母ロスマリヌス)が入厩した。しかし、寺島助手によれば「恐らくゲート試験をパスしてから1度出すことになるのでは」とのこと。やはり大物らしく秋のデビューとなりそうだ。

 入厩してからの感触というと…、「上に比べてごついし、見た目はいいね。いかにも馬がしっかりしている感じ」というから身体能力の高さはうかがい知ることができる。まずはあせらずデビューを見守りたいところ。

 山内厩舎出身の九州産馬といえば、現在は南関東へ舞台を移して活躍するコウエイノホシが有名。しかし、その後釜となりそうな馬が今年の2歳から出てきた。それがコウエイハート(牝、父バブルガムフェロー、母コウエイマーベラス)だ。

 9日の坂路では52.7秒をマーク。「スピードがあるし、気性が素直。水準以上の能力がある」と田原助手もかなりの手ごたえ。九州産馬限定でのデビューを予定しているが、「一般に混じってもヒケはとらない」というから心強い。今年の「九州産の星」はこの馬になりそうだ。

 松田博調教師厩舎の2歳馬は2頭が札幌に入厩。1ヶ月先のデビューを目指して調整されていくことになる。中でも注目を集めるのはフィーリングトーン(牝、父ワイルドラッシュ、母グレースランド)。言わずと知れたドリームパスポートの半妹にあたる。この馬のために松田博調教師はドリームを担当した小園調教厩務員をわざわざ札幌へ派遣したほど。その力の入れようが伺える。

 もちろん、評価も高い。「ワイルドラッシュは輸入されてからの産駒が微妙というけど、この馬が走らないようではダメだろうな。上と比べても馬っぷりは遜色ない。いや、先入観抜きならこっちの方がいいかも」とトレーナーは絶賛。今年の松田博厩舎の行方を占う意味でも、その動向には注目したい。

 また、現在は牧場で調整中のペパーミントラヴ(牝、父シンボリクリスエス、母レッドチリペッパー)。本来なら「札幌でデビューできるくらい順調」というのだが、あえて中央場所でのデビューに切り替えたという。「この血統は早い時期に使い出した馬で成功した例がないからな。それで中央場所まで待つことになったんだ」と師。これまで母の活躍に見合う産駒が出ていないだけに、この馬には相当な期待をかけているようだ。

 また、いろいろとうわさの立つアドマイヤコブラ(牡、父フレンチデピュティ、母マイケイティーズ)。トレーナーもいろいろなところで話を聞かれるらしく、「そんなに心配なら牧場に直接聞いてくれ(もちろん、そんなことをしてはだめです)」とおかんむり。しかし、「調教自体のペースを緩めているわけではないし、順調に調教できている。どこかおかしかったらそんなことできないだろう」というから、POの方にとっては一安心では。

※次回(7/25更新)は、POG伝道師・須田鷹雄さんによる「須田さんのひとりごと」です。

筆者:吉田竜作
 「日本一のPOG記者」との異名を持つ大阪スポーツ記者。毎週月曜日の紙面でPOGコラムを連載中。


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