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芝の中距離で大仕事も、ラブアンドピース

  • 2008年07月22日(火) 23時46分
アドマイヤヤマト(牡 栗東・松田博資 父フジキセキ、母アドマイヤハッピー)
 母アドマイヤハッピーは4勝馬で、半姉にエガオヲミセテ(99年マイラーズC-GII)、半弟にオレハマッテルゼ(06年高松宮記念-GI)がいる。また、2代母の半妹にエアグルーヴ(年度代表馬)、3代母ダイナカールはオークス馬という良血。「フジキセキ×トニービン」はドリームパスポート、ユメノシルシなどの重賞ウィナーを出しているニックスで、高い潜在能力を感じさせる。芝向きの中距離タイプ。

アプレザンレーヴ(牡 栗東・池江泰郎 父シンボリクリスエス、母レーヴドスカー)
 母レーヴドスカーはサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)の勝ち馬。繁殖成績は優秀で、初仔のナイアガラ(父Fantastic Light)はすみれS(OP)を勝ち、2番仔のレーヴダムール(父ファルブラヴ)は新馬戦を勝ったあと臨んだ阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)で2着と健闘した。3番仔の本馬はシンボリクリスエスが父。せせこましいところのない伸びやかな配合で、先々は中長距離で花を咲かせそう。

エアレブロン(牡 栗東・松田国英 父シンボリクリスエス、母アイドリームドアドリーム)
 半兄エアシャカール(00年皐月賞-GI、00年菊花賞-GI)、同エアサバス(04年東京スポーツ杯2歳S-GIII・4着)、半姉エアデジャヴー(98年クイーンS-GIII)という良血。父シンボリクリスエスは晩成型でややズブいところがあるので、3歳春までに活躍する仔は、その大半が母系にスピードの裏付けのある血を抱えていた。本馬は母の父がRaja Baba系のWell Decoratedなので好ましい。芝向きの中距離タイプ。

カノンコード(牡 栗東・松田国英 父クロフネ、母ポップス)
 目黒記念(GII)を2連覇し、ジャパンC(GI)、有馬記念(GI)、メルボルンC(豪G1)で2着となったポップロックの半弟。「クロフネ×サンデーサイレンス」の組み合わせはフサイチリシャール(05年朝日杯FS-GI)やユキチャン(08年関東オークス-交流GII)と同じ。Icecapede 4×4のクロスがあり、どちらかといえばダートのほうがいいかもしれない。ダ1800mあたりで強そう。

ゴッドフェニックス(牝 栗東・池江泰郎 父ブライアンズタイム、母ロンドンブリッジ)
 母ロンドンブリッジはファンタジーS(GIII)を勝ち、桜花賞でも2着に逃げ粘った快速馬。繁殖成績は優秀で、これまでにダイワエルシエーロ(04年オークス-GIなど重賞4勝)、ビッグプラネット(05年アーリントンC-GIII、06年京都金杯-GIII)の2頭が重賞を勝ち、出走した5頭すべてが勝ち上がっている。本馬はOPクラスまで出世したビッグカポネの全妹。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

ナイトフッド(牡 栗東・角居勝彦 父シンボリクリスエス、母マルカキャンディ)
 母マルカキャンディは府中牝馬S(GIII)の勝ち馬で、芝1600〜2000mあたりを得意とした。繁殖牝馬としては、タニノギムレットとの間にライムキャンディ(08年クイーンC-GIII・2着)を送り出しておりなかなか優秀。本馬は「シンボリクリスエス×サンデーサイレンス」。この組み合わせからは新ダート王サクセスブロッケンが突出して走っているものの、その他は繁殖牝馬のレベルの高さからすれば物足りない成績。やや芝向きの決め手に欠ける印象だ。本馬は芝・ダート兼用の中距離タイプ。母系のポテンシャルの高さに期待したい。

フロムジオリエント(牡 栗東・松田博資 父ブライアンズタイム、母オウリエット)
 母オウリエットは現役時代、仏米で21戦7勝。ゲイムリーH(米G1)、サンタバーバラH(G2)、ハニムーンH(G3)などを制した。繁殖牝馬としては、新馬戦−葉牡丹賞(500万下)を連勝したミステリアスライト(父アグネスタキオン)を出している。本馬の父はブライアンズタイム。母系にBlushing Groomを持つブライアンズタイム産駒にはマヤノトップガン(年度代表馬)、トーホウシデン(03年中山金杯-GIII)などがいる。配合的にはGIクラスのポテンシャルを秘めている。あとはノド鳴りの手術をした影響がどう出るかだけ。

ラブアンドピース(牝 栗東・坂口正大 父キングカメハメハ、母ピースオブワールド)
 母ピースオブワールドは阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)、ファンタジーS(GIII)などを制して02年の最優秀2歳牝馬に選出された名牝。これに新種牡馬キングカメハメハを付けて本馬が誕生した。Special=Thatch 5×4という同血クロスを持っており注目できる。Kingmambo系はこのSpecial牝系のクロスを持つ馬が成功している。血統背景、配合ともに申し分なく、芝の中距離で大きな期待がかけられる。

ローズリパブリック(牡 栗東・橋口弘次郎 父クロフネ、母ローズバド)
 母ローズバドはフィリーズレビュー(GII)とマーメイドS(III)を勝ったほか、GIでも2着を重ねた追い込みの名牝。父クロフネは芝よりもダートの成績が優れており、先行タイプの産駒が目立つ。父母は正反対の個性を備えている。全姉ローザブランカはデビュー当初は決め手を欠く歯がゆいレースを続けていたが、休み明けを挟んで5月に復帰してからは芝1800mをポンポンと2連勝。非凡なところを見せている。芝・ダート兼用タイプの中距離馬だろう。

ワイレアビーチ(牡 栗東・橋口弘次郎 父キングカメハメハ、母ビーチフラッグ)
 母ビーチフラッグは、バイオレットS(OP)、マーガレットS(OP)を勝ったほか、グランシャリオC(交流GIII)、かきつばた記念(交流GIII)では2着となっている。繁殖牝馬としてもコンスタントに活躍馬を出しており、これまでに送り出した3頭の牝馬はいずれも2勝し、なかでもビーチアイドル(父ファルブラヴ)はOPのフェニックス賞を勝ち、重賞でも2回入着している。本馬の父は新種牡馬キングカメハメハ。姉同様、仕上がり早のスピードタイプだろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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