この原稿のネタを仕入れなければ……と思っていた函館2歳S当日、ひょんなことから藤澤和師とパドックで延々話し込むこととなり、その中からネタをいくつか拾えた。
私にとって藤澤和厩舎の2歳馬といえば、今年はなんといっても
ネオレボルーション(母リアリーハッピー)なので聞いてみたところ、「牧場からはもう入れてくれという話も来ているが、もうちょっと時間をおいたほうがよさそう。秋の東京開催あたりを目指す」とのこと。牧場では順調に乗り込まれているようだが、ムードとしては平行線になっている印象があり、これが秋口に上向いてくると、「藤澤和厩舎の王道デビュー」として期待が高まってくる。
ちなみに、藤澤和師はこの馬の姉(牧場での故障により未出走で抹消)にいまだに未練があるそうで、この血統に対する思い入れは強いようだ。
一方、「近々下ろす馬は?」との問いに答えが出てきたのが
ワールドカルティエ(母イサドラ)。デビュー戦は8月23日(土)のダート1700m戦(札幌)と名言してくれた。ダートで下ろすとは意外のようでもあるが、師はそもそもダート1700mの新馬がもっと増えてほしいと考えているとのこと。この時期「ダートで下ろしたいが1000mでは……」という悩みを抱えている2歳馬は多いとのことだ。
と、「赤本掲載馬の近況」っぽいことを書いてみたが、師と延々話し込んでいたのはシンボリクリスエス産駒の話。皆さんもよく御存知の「新馬で勝てない」「早い時期に弱い」という特徴について語り合ったのだが、やはり「3歳春まで待つくらいの勢いで、距離も長めから」という話になった。この日人気で負けたサトノエンペラーについても、敗因は出遅れだけでなく、まだ馬自身にも改善の余地があるような印象。ちなみに同厩舎の3歳世代シンボリクリスエス産駒は8頭中6頭が勝ち上がっている。リスクヘッジは効いているので、クリスエス人気がとことん落ちた後に「藤澤和厩舎で、デビューも遅そうなシンボリクリスエス産駒」をドラフト下位で狙ってみたりするのも面白そうだ。
続いて、私が赤本で推した馬のうち何頭かについて近況などを。最近は牧場に行っていないので、又聞き情報も多くなってしまうがご容赦を。
テンペスタローザ(母ロゼカラー)は、まだ具体的な入厩の話などは出てきていないがムードは良くなってきているよう。春に軽く脚を捻ったりとドキドキさせられたことはあったが、この血統に対する期待に応えてくれそうだ。
テーオーストーム(母フェアリーワルツ)は赤本を作った時点では函館デビュー予定だったのだが、HBAトレーニングセールで藤岡健師にお会いした際に、まだしっくりこないところがあるのと、距離が欲しいので札幌まで待つと聞かされていた。その後は予定通りに進んでいる。マンハッタンカフェが2歳戦に強いことについては、気性がプラスに働いているのではというのが師の評価だった。
既に出走したところでは
ディアロックオン(母アドマイヤパール)。函館芝1800mのデビュー戦は道悪+強い相手で8着と大敗したが、馬自身の態勢も100%整っていたという印象ではなく、もともと矢作師からも使いながら結果を出していくような方針を聞いていた。続戦するようなので、とりあえずは札幌開催中の勝ち上がりを期待したい。
ところで、まだ公式にはアナウンスされていないようだが、グリーンチャンネルで8月末に2歳馬特番の続編が予定されている。私はナレーションのみでの参加だが、P-1グランプリの人気上位馬=注目度の高い馬がたっぷり出てくるようなので、秋デビュー組の近況を知りたい方はぜひチェックしていただきたい。某オーナーから特別にお許しの出た、これまであまり露出していない良血馬なども登場するようである。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。
※次回(8/22更新)は、須田鷹雄さんによる「須田さんのひとりごと」です。
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