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1800m新馬とSS系

  • 2008年08月22日(金) 17時50分
 今回は指名に役立つ話というわけではないが、レースを見ていて感じた話をしたい。

 札幌開幕週に恒例でもある芝1800mの新馬戦が行われ、ダノンヒデキが1着した。

 ダノンヒデキはダンスインザダーク産駒、2着ロイヤルクリッパーはアグネスタキオン産駒、3着ヴァンクリマはネオユニヴァース産駒。すべてSS系である。

 レースは1000mの通過が1分05秒1で、上がりが12.4-11.3-11.5秒。単なる前残りに近い形でもあったが、同時に上がり勝負に強いSS系の強さが生きたレースだった。

 ……と思ったのだが、心配になって調べてみると、その解釈は正しくはないようだ。

 北海道シリーズで最初に芝1800mの新馬戦が組まれたのは、1995年のことである。まだ札幌→函館の順だった時代で、最初の勝ち馬は後の皐月賞馬、イシノサンデーだった。

 翌年は勝ち馬がメジロブライト。1000mの通過が1分12秒0(6Fの通過ではない)、勝ち時計が2分01秒6(2000mではない)という伝説のレースである。

 その後、さすがに14秒台のラップを連発するようなレースはなくなったが、やはり2歳馬のデビュー戦で距離が長いとなると騎手も慎重にレースを進めるわけで、どうしてもスローペースになりやすい。そして、上がり勝負に強いSS産駒はそこで好成績を挙げているようなイメージがある。

 しかし、調べてみるとそうでもない。北海道シリーズの2歳芝1800m新馬戦はダノンヒデキが勝ったレースまでにのべ57レース行われているのだが、そこにおける全馬平均の勝率は9.4%。それに対し、系統別の勝率は以下のようになっている。
・サンデーサイレンス系   9.6%
・ミスタープロスペクター系 12.5%
・ロベルト系        12.1%
・グレイソヴリン系     13.2%

 実はSS系は「世間並み」であり、他の主要系統と比べて勝率が低いのだ。

 しかも、サンデーサイレンス直仔の勝率が15.2%だったので、後継種牡馬の勝率はもっと低い。7.5%で、世間並みより下ということになる。

 ちなみに、これが「札幌・函館以外の芝1800m2歳新馬戦」ということになると話が一変する。

 98年以降の10年間でのべ148レースが行われているのだが、SS系の勝率は12.7%で、全馬平均の8.3%を大きく上回っている。

 SS直仔が勝率26.9%と強すぎた面はあるが、それを排除しても勝率10.4%で平均を上回る。

 結局、札幌と函館の芝がダメなのか?というとそうでもなく、短距離の新馬では好成績を挙げている。つまり展開や路面が複雑に絡んだ結果、起きている事象なのだろう。

 だからなんだと言われそうな話ではあるが、とりあえず馬券には生かせそうである。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。


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