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今年は好調のシンボリクリスエス

  • 2008年09月05日(金) 19時00分
 突然だが、シンボリクリスエス産駒の調子が昨年に比べて良いような気がしないだろうか?

 2歳世代で、現時点(9/5)で中央に登録されたシンボリクリスエス産駒は82頭。ちなみに3歳世代は抹消馬を含めて現時点で137頭。時期を考えたら、2世代目だからといって中央入厩レベルの産駒が減ったということはない。だいたい同じくらいの感じと言えよう。

 そのシンボリクリスエス産駒、昨年は8月末の時点で[2-8-3-27]という成績だった。ちなみに9月末時点で[7-9-10-48]。

 ところが今年は、8月末時点で[6-6-3-28]。勝ち星ベースで昨年より1か月先行……というには少しだけ数字が足りないが、勝率などを考えたら、とにかく昨年より遥かに良いことは議論の余地がない。

 ちなみに、8月末までの2歳戦勝利度数ではマンハッタンカフェに次ぎ、サクラバクシンオー、キングカメハメハと2位タイ。この原稿を書いた直後の土曜日に1つ余計に勝ったら(他3頭の動向次第だが)首位になってしまう。

「なってしまう」というのも変な話だが、とにかく産駒の出足がもたもたしてPOGファンをやきもきさせた昨年とはだいぶ状況が違う。

 全体として叩き良化型なのは初年度産駒と同様だし、サトノエンペラーが「いかにもシンボリクリスエス産駒」というもたついた初勝利(3戦目)を挙げたりしたので、シンボリクリスエス産駒のイメージは以前のまま、という方も多いことだろう。

 しかし、数字が示すように明らかに今年のほうがいいし、本来成績が下がる2世代目であることを考えたら、これは特筆すべき状況である。

 すでに今年の2歳クリスエス産駒が挙げた勝利の中で、印象的なものが2つある。

 ひとつは8月3日、函館でピサノシンボルが勝った新馬戦。2着カシマヴィーナスもシンボリクリスエス産駒だった。ドロドロの不良馬場で、切れ味不足が解消されたレースであった。

 もうひとつは8月31日、新潟でマナクーラが勝った新馬戦。こちらもワンツー。新潟外回りコースで、不器用さが解消されたレースだった。ちなみにシンボリクリスエス産駒は、阪神芝外回りコースにも強い。

 道悪は狙えないにしても、外回りコースで勝った後者には意味がある。使う側が、適性のあるところを狙ってくるようになった象徴的レースだからだ。

 さらに、デビューした頭数は見た目上同じでも、今年のほうが実際に臨戦態勢が整った馬が出てきている手応えがある。もともと馬っぷりだけはいいシンボリクリスエス産駒、見た目の完成度の高さで「早すぎるデビュー」をしてしまうことがあるというのは美浦の某有力調教師の証言だが、ジャッジ能力に優れた厩舎ほど、その辺りをアジャストしているように思う。

 マナクーラはもともと、もっと早くに使う話もあった馬で、その意味でも意義深い新馬勝ちと言えそうだ。

 シンボリクリスエス産駒はPOG人気の面では大底と言える状況なので、もし来年戦力になるとすれば、おいしい話になる。もう少し状況を観察してみたい。

※次回(9/12更新)は吉田竜作さんによる赤本紹介馬の近況レポートです。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。


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