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凱旋門賞動静

  • 2008年09月23日(火) 23時50分
 一大決戦となる凱旋門賞まで10日余り。この時季は、有力馬の動向を巡って日々様々な情報が飛び込んでくる。

 ここ1週間で最大のニュースは、英国ダービー馬ニューアプローチの「出走回避」だろう。いささか相手に恵まれたとは言え、9月7日に行われたG1愛チャンピオンSを制して、英ダービー以来となる勝ち星を手中にしたニューアプローチ。レース前半で、もはや完治不能と思われる「掛かり癖」を見せたものの、英ダービーやインターナショナルSの時に比べれば、まだまともな競馬っぷりで、凱旋門賞への出走態勢は整ったものと見られていたのだが、21日(日曜日)に管理調教師ジム・ボルジャーから“回避”の発表があったのだ。

 当初は、「凱旋門賞からチャンピオンS」、「凱旋門賞からBCクラシック」の2つの路線が検討されていたのだが、ボルジャー師が下した決断は、「次走は10月18日のチャンピオンS。年内はこれにて終了」というもの。凱旋門賞回避の理由についてボルジャー師は、多頭数になりそうで枠順の有利不利が大きそうなこと、ロンシャンの12fよりはニューマーケットの10fの方により適性を見出していること、の2点を挙げている。

 ただしこのボルジャー師。春の英国ダービー前にも、一旦回避を表明しながら、直前で「やっぱり出る」と言いだした前科のある人だから、ニューアプローチについては最終登録まで情勢を注視する必要があろうと思う。

 一方、いまだ動向がはっきりしないのが、今季ここまでG1・5連勝で、古馬最強馬と自他ともに認めているデュークオブマーマレードである。キングジョージを快勝した後、管理するエイダン・オブライエン師が「次は10f路線に戻る」とコメントし、次走はその言葉通り、インターナショナルSに駒を進めてここを快勝。その後は、同じ10fでもダートのBCクラシック挑戦を視野に入れつつ、凱旋門賞出走にも含みを持たせる発言を繰り返していたのだが、そうこうするうちに、オールウェザートラックを持つダンダーク競馬場が、10月3日にBCクラシックへ向けた前哨戦となる「ダンダークBCトライアルS」を施行すると発表。デュークオブマーマレードを誘致する動きを見せ始めた。

 BCクラシックを目指す欧州調教馬用のレースとしては、同じくオールウェザー馬場を持つグレートリーズ競馬場も、9月27日に「サラブレッド・オープン・クラシック」を行うことを早くから決めており、こちらもデュークオブマーマレードにラブコールを発信。22日に締め切られた5日前登録の段階で、デュークオブマーマレードはペースメーカー役のレッドロックキャニオンともどもエントリーを済ませている。

 情勢は徐々に「凱旋門賞回避」の方角に針が振れつつあるようにも見えるが、「ロンシャンの馬場が乾けば凱旋門賞」というオプションは依然として生きており、最終決定までにはまだ暫く時間がかかりそうな情勢である。

 コンデュイットでセントレジャーを制した英国のリーディングトレーナー、マイケル・スタウト師は、コンデュイットは来年の凱旋門賞に温存して、今年の凱旋門賞はキングジョージ2着のペイパルブルと、同5着のアスクの、古馬2頭で臨むことを表明。

 凱旋門賞で鞍上を替えてくるのが、昨年の2着馬で、この春もG1サンクルー大賞を制しているユームザインだ。追い込み一辺倒という競馬っぷりに不満を抱い馬主さんの意向で、これまで主戦を務めたリチャード・ヒューズが降ろされ、10月5日のロンシャンではリチャード・ヒルズが手綱をとることが明らかになった。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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