札幌2歳Sは2歳戦前半の重賞であると同時に、その距離からクラシックにつながることも期待されるレース。いわゆる速攻系と本格派がクロスする重賞でもあり、POG上の注目度も高い。
今年は19頭が登録してきたが、ここでは予想をするというのではなく、その登録馬を見ながらPOGに役立ちそうなテーマを抽出していきたい。
まずは、道営馬2頭の存在。
イグゼキュティヴと
モエレエキスパートだ。
「赤本」ではかなり早い時期から道営馬に注目すべしということを訴えてきたし、この2頭のような存在を見ると、やはり速攻系を語るうえで道営馬は重要だということが再認識される。
しかし、である。では「赤本」で「この道営馬を取れ」とズバリ推奨できるかというと、これがなかなか難しい。赤本の締切は4月中旬であり、道営コーナーは多少それより遅くしているが、それでも4月下旬。この時点で5月のフレッシュチャレンジを見切るのは難しい話で、今年の古谷氏原稿でも、イグゼキュティヴは出てくるがモエレエキスパートは出てこない。というか、モエレエキスパートはフレッシュチャレンジ当日になっても3番人気だったのだから、そんな馬を1か月前に協調するのは無理だろう。
唯一反省点があるとすれば、血統価値が高いぶん社台ファームやノーザンファームの生産馬に紙幅を割きすぎ、他牧場に手が回りきらなかったことだ。
実は社台ファーム・ノーザンファームの生産馬とも、北海道シリーズの2歳オープン特別・重賞を勝ったことがない(社台はエイブルインレースのクローバー賞3着が最高、ノーザンファームはセリで売った馬が岩手所属ですずらん賞2着したのが最高)。最近は血統馬を投入しているのでいずれ勝ちはじめるとは思うが、他牧場との掲載バランスについては古谷氏と相談してみようと思う。
もうひとつのテーマは、ネオユニヴァース産駒が4頭も登録してきたことである。
7月の中旬から8月にかけて全く勝てずどうなることかと思ったネオユニヴァース産駒だが、ここへきて陣容が整ったようにも見える。
しかし冷静に考えてみると、今回登録してきた4頭(
アドマイヤサムライ、
ナムラカイシュウ、
ピロートーク、
ロジユニヴァース)は、これまでに勝ったネオユニヴァース産駒全員なのである。
これで2頭くらいが掲示板に載ると「ネオユニヴァース産駒はけっこうイケる」というムードになるかもしれないが、デビュー35頭中4頭の勝ち上がりは勝ち上がり率でキングカメハメハの半分だし、SS系種牡馬の成功している先輩と比べても物足りない。本来ならダッシュをかけるべき初年度産駒ということを考えるとなおさらである。
昨年新種牡馬だったシンボリクリスエス産駒のように「みんなで産駒の適性を間違えていた」というならば2年目の上積みもあろうが、ネオユニヴァース産駒についてはそのような手応えもない。同馬についてはセオリー通り、2年目となる来年は評価を低めにしていいのではないかと考えている。
※次回(10/10更新)は、須田鷹雄さんによる赤本紹介馬の近況レポートです。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。
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