デイリー杯2歳Sのメンバーを見渡して、考えたことがふたつある。
ひとつは「差せる馬」の強みだ。
デイリー杯は2歳重賞の中でも屈指の差しが決まりやすいレース。かつては人気馬がハナへ行って押し切るケースも多かったが、ここ数年は人気薄の馬が逃げていることもあって、差し・追い込み・捲りの強さが目につく。
デイリー杯に限らず、差す競馬ができるというのは後々のレースにおいて強みにもなる。そこで、こんなことを調べてみた。
「新馬から差して勝てる血統・厩舎」である。
もちろん、新馬を逃げ切った馬が2戦目以降差しに構えてそちらでも成功するというケースは多い。しかしそこまで話を広げるとややこしくなるので、デビュー戦から差せる血統・厩舎について見るわけである。
対象は、2003年以降に行われた芝の2歳新馬戦。全部で767レースある。
うち、逃げ馬の成績は[195-131-90-385]。まずはこれを取り除く。
除いた結果、種牡馬はサンデーサイレンス、アグネスタキオン、ダンスインザダーク、スペシャルウィークといったところが勝利度数上位となり、勝率面ではSS、タキオン、フレンチデピュティ、マンハッタンカフェといったところが注目種牡馬になる。
厩舎では意外に、といったら失礼だが小島太厩舎が勝利度数トップで、池江郎、藤沢和、橋口と続く。ただし橋口は勝率は低く、勝率では松田博、池江寿が高い。
さらに、[388-414-368-1567]と主力を構成する先行勢も除外するとどうなるか。
種牡馬では大きな変動はないが、対象馬が少ないとはいえ、スウェプトオーヴァーボード、ゴールドアリュールが浮上してくる。この2頭は、差し云々に関わらず、実際の成績よりもPOG人気が低いように思われるので注目すべきだろう。
厩舎では国枝が勝利度数トップに躍り出る。勝率では池江郎、池江寿に加え、松田国、鮫島が高い。このあたりが、スピード頼みではない新馬を育てているということになる。
いずれも既にPOG人気の高い厩舎だが、鮫島厩舎あたりはまだ狙う余地がありそうだ。
紙幅が少なくなってしまったが、デイリー杯を見て考えたことのもうひとつが、社台グループの中でどのあたりのゾーンをPOGで狙うかということだ。
結果がどうなるか分からないが、今回注目を集めるうちの1頭に
テーオーティアラがいる。セレクトセールで3465万円という「中堅どころ」だ。
上にショートローブスなど「小当たり」が出ている血統だが、こういう「小当たりの後の大当たり狙い」は効率が良いように思う。血統的に潜在能力があることは分かっているわけだし、育成の付加価値は高馬たちとほぼ同じだからだ。
もちろんGI馬の下などのほうが打率は高い(ハズした場合の恥ずかしさはともかくとして)のだが、トータルバランスで言うなら「社台グループの中堅どころ」はもっと注目されてもいいだろう。
シェーンヴァルトのような、クラブ内の中堅どころについても同様である。SS直仔の時代と違って、価格ベースの「上から順」のような狙い方だけではうまい指名はできない。
注)テーオーティアラは骨折により、デイリー杯2歳Sは出走取消となりました。※次回(10/24更新)は、村本浩平さんによる赤本紹介馬の近況レポートです。
筆者:須田鷹雄
1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。
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