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ブリーダーズCその後

  • 2008年10月28日(火) 23時50分
 クラシックにおける欧州勢同士のワン・ツー・フィニッシュという衝撃のクライマックスを迎えた今年のブリーダーズC。レイヴンズパス、ヘンリーザナヴィゲーター、カーリンといった、波乱の主役となった馬たちの陣営からは、まだ今後の予定に関する明らかなメッセージは出されていない。

 一方で、2歳戦の勝ち馬たちについては、クラシックを戦う来年に向けた指針が徐々に明らかになっている。

 まず、ジュヴェナイルを制したミッドシップマン(父アンブライドルズソング)。シェイク・モハメドのダーレー・ステーブルの所有馬であることから、冬はドバイで過ごすことになろうとの見方があった一方で、表彰式でドバイ行きについて問われたシェイク・モハメドのアドバイザーを務めるジョン・ファーガソン氏が「Possibly(=場合によっては)」と、アメリカ残留の可能性を示唆したともとれるコメントを発表。行方が注目されていたのだが、どうやら、これまで管理したボブ・バファートの手を離れてドバイに行き、サイード・ビン・スルール調教師の傘下に入ることになりそうだ。目指すのは言うまでもなく、モハメド殿下にとっての悲願となっている、ケンタッキーダービー制覇である。

 続いて、ジュヴェナイル・ターフを制したドナティヴァム(父カドージェネルー)。英国のジョン・ゴスデン調教師の管理馬であるが、今年春に去勢をしてセン馬となっているため、英国の3歳クラシックには出走資格がない。一方、米国の3歳クラシックはセン馬にも出走資格があることから、この馬にもケンタッキーダービー挑戦プランが囁かれている。もっとも、そこに至るまでの過程については流動的だ。ゴスデン師の本拠地で調整されるプランに加えて、このまま米国に留まるプラン、あるいは、モハメド殿下の夫人であるハヤ王女の所有馬であることから、この馬もドバイに行く可能性も示唆されている。ドナティヴァムの父は、現役時代6fのG1ジュライCなどを制したスプリンターのカドージェネルーだ。いずこで冬を越すことになろうとも、調教での雰囲気を見つつ、距離は持つのか、ダートはこなせるかなど、適性が改めて吟味されることになるのだろう。

 ジュヴェナイルフィリーズを制したスターダムバウンド(父タピット)。ブリーダーズC前から、11月2日にケンタッキーで行われるファシグティプトン・ノヴェンバーセールに上場予定(上場番号65番)だったのだが、ジュヴェナイルフィリーズの表彰式でインタビュアーから「本当に売るのですか」と聞かれた馬主チャールズ・コノ氏が「今、考えているところだ」と発言し、上場取り消しの可能性も取り沙汰されている。85歳と高齢なことから、所有馬の大半を処分することにしたコノ氏だが、あるいはこの馬だけは、来年のクラシックまで手元に残すことになるかもしれない。一方で、予定通り上場されれば、大手馬主・牧場による激しい争奪戦が展開されるのは必至である。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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