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来年へ向けてのテーマ

  • 2008年12月05日(金) 17時00分
 「近況馬」原稿、私が担当するのは今年度最後ということで、今回は総括的なお話をさせていただきたい。

 まだ阪神JFも朝日杯FSも終わっていない段階だが、活躍馬はある程度出揃っているのでそれを前提に書いていく。

 まず、赤本における推奨馬は昨年ほどではないものの、全体的にいまひとつ。いちばん意気上がっているのがさとう珠緒…。一応言っておくと、私もリーチザクラウンには関心があったのだが(シルシは○)、珠ちゃん用に譲ったのでそこはご理解いただきたい。

 さらに振り返ると、早期デビューのフィフスペトルが完全ノーマークといったカッコ悪さなどもあるものの、一方同じキャロットでほとんど評判になっていなかったメトロノースを私が▲にしていたりもするので、その辺りは相殺ということでお願いしたい。

 そんな話はともあれ、GI前の2歳戦、とくに収得賞金を持っている馬たちを振り返ると、いくつかのテーマが浮かび上がってくる。来年の指名に向けて参考にしていただきたい。

1.父内国産馬時代来る

 マル父という概念自体が無くなろうとしているが、実際、12/1時点での収得賞金上位2歳馬を見ても、昔で言うマル父ばかり。20位まで対象を広げても、マル外が1頭、「父が元マル外」が3頭、マル父が13頭で、純然たる輸入種牡馬の仔は3頭しかいない。

 一方で、SS系は20頭中6頭。取材がSS系に偏ってしまうことについては、考えないといけない。

2.調教師は完全に若返り

 同じ要領で調教師を見ても、活躍馬の多くは40歳代調教師の厩舎から出ている。大物調教師のところには派手な血統の馬が集まるぶん対象馬は絞りにくくなり、一方で若い調教師の管理馬は血統でふるい分けがしやすいので、今後はますます後者を重視していくべきかとも思う。

 また、最近は特定の馬主と調教師の組み合わせを重視する指名が流行っているようだが、若い調教師の場合は、育成牧場との組み合わせで解釈するのがよい。

3.道営勢は無視できない存在に

 イグゼキュティヴモエレエキスパートを持ち出すまでもなく、今年も道営勢は大活躍。赤本では早くから道営のコーナーを設けてきたが、どうも機能しきっていない。社台やノーザン、特に社台に行くと東主任から道営馬の話をたくさん聞くのでついついそちらを載せてしまうのだが、モエレやBRF、加藤ステーブルあたりの割合をもう少し増やさないといけない。

4.トレーニングセール組復活

 バレッツ出身のスーニが大活躍。兵庫ジュニアGPで2着のアースリヴィングもファシグティプトンコールダー出身なので、トレーニングセール組のワンツー。エイシンアマデウスプレジャーランといったところもきっちり勝ち上がっている。

 現在のアメリカはさすがに経済状態がセリに反映されており、キーンランドセプテンバーまでは馬も売れていたが、ノベンバーはグダグダ。来年のトレーニングセールでは、コンサイナーが早くに高く仕入れてしまった馬を売り渋る現象が起きるかもしれないが、「そんなことも言っていられない」という結果になる可能性も。

 最近はあまり顧みられなくなったトレーニングセール組だが、ファンに提供されている情報が多い馬たちでもあるので、来年はぜひ指名対象に加えていただきたい。

5.穴狙いの価値が拡大

 収得賞金上位馬20頭を見ても、社台グループは生産頭数で8頭、育成を加えてもプラス1頭。取材の効率性を考えるとどうしても雑誌は社台グループに偏ってしまうが、「ゲリラ戦」の価値は高まりつつあるので、来年の赤本では田中哲実氏のさらなる活用などで、日高組にもっと目を配っていきたい。

 ちなみに血統で言うと、社台スタリオンに入った馬の顔ぶれが影響してもいるのだが、「社台グループは非SS系が走り、日高でSS系が走る」という現象が起きている。これもまた、興味深いテーマである。

※次回(12/12更新)は、須田鷹雄さんによる「須田さんのひとりごと」です。

筆者:須田鷹雄
 1970年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業。POGの達人としても知られ、監修を務める“赤本”こと「POGの達人」(光文社刊)は、POGユーザー必携の書と言われている。


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